今でもあなたは

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あれから少し時は過ぎ、夏真っ盛りの8月になった。


学校は夏休みに入り、私は研究室とバイト先に通う毎日を過ごしている。




「Aちゃんさ、正直のところ米津くんとどうなの？」


『へ？』




暑いね〜、そうですね〜、なんてのほほんとした話をしていたはずなのに、いきなりの質問に変な声が出た。




「だからさ、米津くんと！何かないの？」


『何かとは…？』


「2人で出かけたりしているんだろう？」


『ラーメン食べに行ってるだけですよ』




「え〜？」とつまらなさそうな顔をするマスター。


いや、そんな顔をされても。




『マスター、米津さんは芸能人ですよ？
一般人の私がそんな人と何かある訳ないじゃないですか』


「そんなことわからないよ？
米津くんだって、気がなかったらここにも来ないだろうし、2人でも出かけないって」


『だからラーメン食べに行ってるだけです…』




言いたいことはわかる。


知り合って4ヶ月弱。


週に1度は会って、毎日少しだけどLINEして、2人で(ラーメンだけど)ご飯に行く。


そんなこと聞いたら、きっと何かあるって思うよね。


うんうん、わかるわかる。




でも、




『そういうのは、だめだと思うから』




小さくこぼすと、マスターは少し目を見開いた。




「Aちゃん…」


『大丈夫です、マスター』




笑え。


こんなうじうじしちゃだめ。




「でもね、Aちゃん」




眉を下げて少し悲しげに笑うマスター。




「君がそれでいいならいいんだ。
だけど、たまには正直になってもいいんだよ？
何も考えずに行動してもいいんだよ？」


『…ありがとう、ございます」




大丈夫。


マスターの言葉は嬉しいけど、それにすがったらだめ。


あんな悲しい思いはもうしたくないの。


今までこのままでいられたんだから、これからもきっと大丈夫。


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