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その76 このゲームは、名前も可能性も「∞」!  by佑 ページ3

ー約1ヶ月後ー


佑がコンピューターウイルスを開発して遊んでいる様子を、ぼんやりと眺める。

囚人用PCにでも入れるのだろうか?

雨の日に囚人たちを退屈させないため、少し前に屋内自由広場にPCを数台導入した。

天候が悪い日は囚人共が暇になって暴れることがある。

あと、普通に看守も暇すぎる。

というわけでPCを10台導入したのだ!

複数人で遊べるレーシングゲーム、「カオスカート∞」が大人気である。

看守も囚人も「カオカ」と呼んで親しんでいるこのゲームは、現在目の前でコンピューターウイルスを作成している人物によって開発されたものだ。

ホワイトでもブラックでもないハッカー。カオスなものを作り出すだけ。

以前からPCなどに詳しかったが、このような形でその能力が発揮されるとは……。

カオス・ハッカーのカオス度は今後も上がっていくだろう。

「看守長……。これ、屋内自由広場のPCに入れていい?」

佑が私を呼んだ。

彼のPCの画面に表示されていたのは、コンピューターウイルスのプログラムではなかった。

“カオスカート∞”のアップデート内容をまとめたページだったのだ!

「吾琥叙をモチーフにした新アイテム、新コースを加えようと思うんだ。」

佑が恐ろしいことを言っている。何としてでも止めなければ!

私達の腹筋が崩壊するのも困るが、もっと深刻な理由がある。

『とりあえずやめておいて……。吾琥叙に対して、囚人が異様な反応を示す気がするんだ。』

これはあくまでも私の推測である。

だが、昨日私のスマホの着信音である吾琥叙の雄叫びを聞いたクズ共が暴れ出した。

またあんなことが起きると困る。

「囚人が吾琥叙に対して反応するって!?」

反応したのは、今の私達の会話を聞いた社長の方じゃない?

「そうか、そうか、つまりクズはそんなやつなんだな。あ、芽依、明日私は休暇をもらうね〜研究したくなったんだ!」

社長は私の返事も待たずにどこかへ去ってしまった。

……別に休暇を取っていいとか言った記憶はないんだけどなぁ。

「看守長、要するにこのアップデート版を囚人に見せなければいいってこと?」

佑が訊いてきたので、頷いて肯定した。

彼はPCに指を滑らせた。

悪い予感がする。

私の携帯電話が吾琥叙の雄叫びを発した。メールが来たようだ。

じきに、娯楽室から誰かの笑い声が聞こえてきた。

君は看守全員に何を送ったの?




……なんだろう、この情報量が多い感じ。

その77 仕事をサボる系の社長  by主人公→←明星刑務所紹介



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設定タグ:恋愛 , 刑務所 , オリジナル   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:紅葉姫 | 作成日時:2024年2月18日 20時

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