その32 人体模型ちゅわ〜ん!出ておいで〜! by蒼&林 ページ3
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二人は理科室に着いた。
「ねえ、林……。」
蒼が林に語りかける。
「どした?」
「怖いから、林が取ってきてくれない?」
「嫌だよ。俺も怖いし。」
どうやら二人とも怖がりのようである。
「お願い!友達だろ?」
蒼は必死に頼み込んでいる。
「俺たちは友達じゃなくて親友だ。」
「確かに……。って誤魔化すなよ!俺は怖くて取りに行けないんだ!!」
蒼はついに認めた。
「……今のは聞かなかったことにしてくれ。頼むから、椿だけには言うなよ。お前だって怖がっていたことをを好きな人に伝えられたくないだろ?」
しかし、訂正しようとした言葉が更に墓穴を掘ったようだ。
「そうか。蒼、お前は椿の事が好きなんだな。知ってたけど。」
「知ってたのかよ!まあ、お前が俺の好きな人を誰かに言ったら、俺もお前の好きな人を言うから。」
「ゑ、俺の好きな人!?誰の事だよ。俺、言っていないぞ。」
林は焦っている。
「かぐやだろ?バレバレだぞ。この前なんか壁ドンしようとして逃げられてたじゃないか。」
「あれは仕方ない。謎の作用により、急に俺の動きがスローモーションになったんだ。」
林はなんとか弁明しようとするが、蒼はにやにやと笑うだけである。
だが、そんな蒼の笑いもすぐにひっこんでしまった。
「ところでさ、今気づいたんだけど、あそこには人体模型が置かれていたはずだよね。」
「うん。あそこにも置かれていたはずだけど……。」
二人の顔がカオスな群青色に染まっていく。
「蒼、どうした。名前も青っぽいが、顔も青っぽいぞ。」
林が自分の事を棚に上げて蒼に語りかけた。
蒼は林の後ろを指さしてガタガタと震えている。
「見ろよ。……いや、見ない方がいいかもしれない。」
蒼が指さす方を見て、林は事の重大さに気が付いた。
「人体模型が動いている!!」
「逃げろー!」
二人は急いで職員室へと帰っていった。
その33 やめろよ!絶対にやめろよ!! by林→←その31 蒼は、実は怖がり。 by林
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作者名:紅葉姫 | 作成日時:2022年5月11日 8時