8話 ページ9
すぐに先生方が駆け付けてくれて、治癒魔法を掛けなんとか騒ぎはある程度おさまったけれど。
オレはAくんを抱えて口を洗ってやり、自分の口も洗って、口の中に入ってたものはAくんが一応見ないようにして、吐き捨てた。
オレたちは──というかオレだけだけど──暴れる気がないと必死にアピールすることで捕縛から逃れた。先生と会議室に通され、事情を聞かれる。オレはさっきのことがあってAくんがすげー怖くて、尻尾の先がピクピクするのを必死で抑える。
「……また、オルカが突然噛み付いたのか？」
溜め息と共に先生がオレに問い掛けて来たので、思わず頭に疑問符を浮かべる。
「え……いや、向こうがオレに絡んできたのを、Aくんが助けてくれたんっスよ」
「……なるほど。本人に助けるつもりがあったかどうかは別として、事情は分かった」
「いや、つもりがあったっつーか……オレが助けてって頼んだんスよ」
「それでも、本人にそのつもりがあったかどうかは本人ではないとわからないだろう」
「……じゃあ何スか？Aくんが偶然オレが助けを求めてるところで、偶然オレを殴った奴に噛みついたって見てるってことスか」
「ああ、その線が妥当だろう。血に興奮して、一番目についた生徒を攻撃」
「そんな……」
Aくんの顔を見る。彼はいつもの微笑みを浮かべたまま、目を合わせたまま何も言わないオレに疑問符を浮かべている。
しかし血に興奮してたっていうのは、否定もしきれなくて。
「……でも、助けてくれたんっスよねぇ？」
Aくんに問い掛けるけれど、本人は疑問符を浮かべるばかりでなにも言ってくれない。
「あ、そうだ。先輩のふくらはぎ食い千切った後、それをオレにくれたっス。……なんかまるで、食えっていう風に」
「……ふむ」
「これ、助けてくれたっていう証拠にならねぇっスか？とりあえず扱いが違げーことの証拠にはなりますし……」
「ああ、まあ、わかった。記録しておく。ではな、授業に戻れ」
歯切れの悪い返事と共に先生は行ってしまって、オレは顔を顰める。っていうかAくんこれ以上お咎めなしかよ、権力ってすげぇな、と違う方向にもムカついて、ムカついて、……机に上半身を倒して大きく溜め息を吐いた。
Aくんの方を向く。
こっちを見ているAくんの頬を片手で揉む。摘む。
そんなことをしても、Aくんは抵抗すらしない。
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功徳(プロフ) - オパールさん» ありがとうございます！よろしければ他の作品も読んでくださると好みに合うかもしれません🥰 (11月10日 20時) (
レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
オパール - とーっても…面白かったです！この作品を作ってくれて、ありがとうございます！ (11月10日 19時) (レス) @page42 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - 新.sinさん» 一気読みありがとうございます！これを気に入ってくださった方は私の別作品も気に入っていただけそうなのでおすすめさせていただいております……💕重ねてお読みいただきありがとうございました🥰🥰🥰 (2022年8月14日 16時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)
新.sin(プロフ) - 一気読みしてきました。私が占ツクで見てきた作品史上最も好き！！って思いました！！素敵な作品をありがとうございました！ (2022年8月14日 15時) (レス) @page42 id: 03f8c9269c (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - 黒恋さん» わーーいありがとうございましたお疲れ様でした〜！！！本当にありがとうございます……💕💕💕嬉しい嬉しいなあ…… (2022年6月2日 18時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)
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