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26話 ページ27

「良いっスよ。別に、オレに何かしちまっても」


Aくんは口をあんぐりと開ける。オレは半ばヤケだった。勿論、痛ぇことなんかされたくねぇし死にたくもねぇけど、このままAくんが一人で頑張り続けるのを見過ごすことが、その二択から選べと言うのが、どうしても。


「もと、頭ましになてきたら、けがじゃすまないです。A、ラギちゃ、ころしちゃ、とおもう」

「……それ分の支払い、とっくに済んでるんスよね」


オレが一生掛けたってまず稼げない額が、オレの手に入って。スラムのガキどもと婆ちゃんはすげえ喜んでて。あの辺りのスラムなんて、もうスラムと言えるかが怪しいくらい、ちゃんと住める場所になってて。

それは、オレが夢見て、でも現実的に考えて不可能だと判断していた光景だった。


「……ほんきで、いってる、ですか」

「そうっスよ」

「……」


Aくんは、視線を床に落とす。


「勿論、できるだけ我慢っスよ。オレも死にたくねーし」

「あい」

「Aくんだって、世話役居なくなんの困るっしょ?」

「はい」

「だから……」


自分でも何故こんなことを言っているのかわからない。Aくんは仮にも、オレのめちゃくちゃ嫌いな権力者で。

でも、……ガキじゃないっスか。


「あー!もー!っていうか痛くないんスかこれ!?」


何度目かの同じ帰結に行きついてしまったオレは、Aくんの治療した手を指さして言う。


「い、……いた、けど、がまんでき、て」

「痛覚もめちゃくちゃになってるんスか?」

「た、たぶん……」


はぁ、と溜め息を吐く。確かにすっ転んで怪我してもすぐ何でもなかった様に起きるなとは思ってたけれど、そんな所まで。


「……とにかく、自分の頭これ以上弄るのはちょっと待って欲しいっス」

「あい」

「その二択以外にも、何か道が……きっとある筈っスから。それを探すっス」


「ラギちゃ、やさしい、ねぇ」


そう言って嬉しそうにしているAくんの表情は、まるっきり純粋な子供といった感じで。

そんな顔をするならあんな二択突き付けてくるな、と腹が立った。

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功徳(プロフ) - オパールさん» ありがとうございます!よろしければ他の作品も読んでくださると好みに合うかもしれません🥰 (11月10日 20時) (レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
オパール - とーっても…面白かったです!この作品を作ってくれて、ありがとうございます! (11月10日 19時) (レス) @page42 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - 新.sinさん» 一気読みありがとうございます!これを気に入ってくださった方は私の別作品も気に入っていただけそうなのでおすすめさせていただいております……💕重ねてお読みいただきありがとうございました🥰🥰🥰 (2022年8月14日 16時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)
新.sin(プロフ) - 一気読みしてきました。私が占ツクで見てきた作品史上最も好き!!って思いました!!素敵な作品をありがとうございました! (2022年8月14日 15時) (レス) @page42 id: 03f8c9269c (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - 黒恋さん» わーーいありがとうございましたお疲れ様でした〜!!!本当にありがとうございます……💕💕💕嬉しい嬉しいなあ…… (2022年6月2日 18時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わたし | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年10月26日 9時

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