13話 ページ14
尻尾でAくんの頬を撫でて鼻の下を擦ってくしゃみさせて遊んでいるレオナさんに顛末を全て話すと、犬歯を剥き出して大笑いされた。大笑いした時の身体の振動で余計に尻尾が動いたらしく、Aくんは二回連続でくしゃみをした。
「あーあ、レオナさんと同じ留年組っスよ、Aくん」
「コイツパシったり出来なそうだからな……」
「あ！この人今年も留年する気満々っス！」
「ラギーが居ない間コイツの面倒見なきゃいけねぇじゃねぇか」
「体の良い留年道具にされてる……ってか、Aくんも魔法は使えるんスよね？ユニーク魔法はどんなのになるんスかねぇ……」
やっぱり双子みたく噛み付きとかと関係あるんスかね、と頭に手をやってレオナさんに問い掛けると。
「は？そいつのユニーク魔法、もうあるだろ」
「は……？なんで知ってるんスか、レオナさん」
レオナさんはしくじった、と尻尾で語っている。Aくんは弄られるのが嫌になったのか、うつ伏せになって尻尾の攻撃から逃れているが、寝ているのだろうか。
「……オレなんてAくんの魔法使ったとこも見たこと無ぇのに」
「……」
「……何か隠してるなら、教えてくださいっス」
「隠してねぇ」
レオナさんは身体をむっくりと起こし、オレを睨み付ける。
「ただわざわざ言う必要もねぇと思ってただけだ」
「……教えてくださいっス」
沈黙が流れる。
「はぁ……お前が教えろっつーなら教えてやるよ」
レオナさんは溜め息を吐いて、嫌な笑みを浮かべた。この人がこういう顔をする時はすげー性格悪いことをしてくる時だ。背中に冷や汗が伝うのがわかる。
「そいつ、たしか──10までは天才で通ってたんだぜ。は、信じられるか？」
「……え？」
「俺が実際に会ったのは10より数年前だ。だからそいつの全盛期のことは知らねぇし知ってたとしてもどうせでけぇ尾鰭がついてるに決まってるが──そうだな。俺が実際に見ても、その年齢で普通の魔法士より魔法と仲が良いって感じだったな」
レオナさんが褒めるなんて──とAくんに目を向ける。うつ伏せから寝返りを打ったAくんは、あどけない顔をして眠っている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 138人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
功徳(プロフ) - オパールさん» ありがとうございます！よろしければ他の作品も読んでくださると好みに合うかもしれません🥰 (11月10日 20時) (
レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
オパール - とーっても…面白かったです！この作品を作ってくれて、ありがとうございます！ (11月10日 19時) (レス) @page42 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - 新.sinさん» 一気読みありがとうございます！これを気に入ってくださった方は私の別作品も気に入っていただけそうなのでおすすめさせていただいております……💕重ねてお読みいただきありがとうございました🥰🥰🥰 (2022年8月14日 16時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)
新.sin(プロフ) - 一気読みしてきました。私が占ツクで見てきた作品史上最も好き！！って思いました！！素敵な作品をありがとうございました！ (2022年8月14日 15時) (レス) @page42 id: 03f8c9269c (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - 黒恋さん» わーーいありがとうございましたお疲れ様でした〜！！！本当にありがとうございます……💕💕💕嬉しい嬉しいなあ…… (2022年6月2日 18時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
