第1話:解へ導く助言を君に ページ5
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墨を塗りたくった様な夜空の下、歩道橋の上で、一方通行は電波時計が「00:00」となった瞬間を見つめていた。
上条との最後の会話は、補習一日目のあれだ。
『それじゃ。サヨナラ、上条クン』
『何だったんだ……』
意味は間違っていない。
一方通行が言った「サヨナラ」は、本当の意味でサヨナラだ。
「？」
サヨナラを告げた相手が、一方通行の眼下をフラフラと覚束無い足取りで歩いていた。
一方通行は歩道橋から飛び降りる。
八本の缶コーヒーが騒がしく鳴り、それは上条を振り向かせるに至った。
「補習がそンなに辛かったンですかァ？」
コンビニ袋から取り出した缶コーヒーを、数日前の様に放り投げる。
上条の右手に収まったのを見て、一方通行は歩道橋の階段に腰かける。
「なあ」と口を開いた上条に「ン？」と反応を示す一方通行。
「完全記憶能力者って知ってるか？」という上条の問いに「ゴミみたいな記憶でも永遠に覚えてる体質」と端的に答える一方通行。
「その子、脳の八十五%がその……大量の本で埋まっててさ。十五%しか使えないから、一年毎に思い出を消さなきゃ生きていけないんだ」と語る上条に「へェ」と相槌を打つ一方通行。
「俺は……」と言い澱む上条を、「で、上条クンはここで現実逃避ですかァ？」と一方通行は無表情で遮った。
「
「
一方通行は、肩で息をする上条に言い放つ。
「どンだけ式を展開させたって、答えが出なきゃ何もしてないのと同じなンだよ」
携帯をいじりながら、一方通行は抑揚の無い声でそう続ける。
「『分からない箇所は先生に聞く』……小学生でも知ってる解決法なンですけどねェ」
携帯に表示された番号は、月読小萌の物だった。
「そうそう。記録術の単位が落第決定な上条クンに学園都市の第一位が一言」
手渡された携帯を呆然と眺める上条に、「『人間の脳は百四十年分の記憶が可能』……と、『ゴミの分別はお忘れなく』」携帯を預けた一方通行はスタスタと自宅に向けて歩き始める。
「……一言じゃねえな。二言だ」
その目に輝きを宿しながら。
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ムスカ(ﾊﾞﾙｽしないで)(プロフ) - 凄い面白いです！！原作に近いのに原作とは違うイレギュラー(一方通行ちゃん)の続きが気になります…!!応援してます！ (2017年7月20日 2時) (携帯から) (
レス) id: 73140b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - Σ(ﾟДﾟ)ｽｹﾞｪ!!面白かったです！頑張ってください (2017年5月17日 15時) (レス) id: 8490ef35d5 (このIDを非表示/違反報告)
ガルシア - 頑張ってください！ (2017年5月5日 16時) (レス) id: 980d9fadba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菊桜 | 作成日時：2017年4月27日 19時
