第11話:方向転換(2) ページ29
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無風状態だった実験場に吹き込む風を、一方通行は微かに感じ取った。
「もうそんな時間か」と原作の知識を引っ張り出し、「やってみるかなぁ」と新しいゲームに挑戦する様な声を出す。
「ぐ……」
上条の呻き声を拾った一方通行は「ああ、まだ生きてたの」と弾んだ声を挙げる。嬉しかった。まだ、自分の敵が生きている事が。まだ、主人公が生きている事が。
「その主人公補正、今からたっぷり試してやるからさ。くたばんなよ
轟!! と周囲の大気が荒れ狂う。バケツに張られた水へ棒を突っ込み、掻き回した様に風が暴れる。一方通行は自身が変換した風の向き、そして変換した後の風の向きを計算していく。荒れ狂う風は、次第に一方通行の頭上へ集まっていった。
「止まりなさい一方通行!!」
実験場に、御坂の声が轟いた。親指にはコインが握られている。あとは、指で弾くだけだった。それなのに、一方通行は御坂の方へ見向きもしない。攻撃が届かない事を疑わず、そこに絶対の自身があるからだ。第三位の攻撃は、自分に牙剥くのではないと。一方通行の頭上には、既に
「そこで何してるの？」
御坂の肌が火傷を思わせる痛みを受けている最中、突如その声は空気を震わせた。一方通行は、声の主を確認するまでもなく驚愕する。実験場こと操車場の入り口、御坂の背後に、彼女は佇んでいた。白地に金色の豪華な刺繍を施した、ティーカップみたいな修道服。
「また介入しようとしたのですかお姉様。とミサカ一〇〇三三号はため息を吐きますが、どうやら今回の介入者は少年の方ですね。と状況の再確認をします」
御坂妹が投げた記憶と感情、それを拾った
「何度も何度も厄介な事してくれますねこの野郎。とミサカ一〇〇三四号はまたも実験場に訪れた少年を呆れた目で見ながら毒づきます」
「それはそうと一〇〇三三号。そのちっこい修道女を何故連れてきたのですか。とミサカ一〇〇三五号は暗に面倒事を増やす気かと問いかけます」
「ミサカネットワークぐらい使えよ新参かよ。とミサカ一〇〇三六号はわざわざ疑問を口にした一〇〇三五号にわざと口で注意喚起を行います」
高電離気体の熱など感じさせない無表情で、のんきとも取れる会話を繰り広げる。集った理由はただ一つ。
御坂妹が願った、上条当麻の救出だった。
第12話:第一〇〇三二次実験の結末→←第11話:方向転換(1)
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ムスカ(ﾊﾞﾙｽしないで)(プロフ) - 凄い面白いです！！原作に近いのに原作とは違うイレギュラー(一方通行ちゃん)の続きが気になります…!!応援してます！ (2017年7月20日 2時) (携帯から) (
レス) id: 73140b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - Σ(ﾟДﾟ)ｽｹﾞｪ!!面白かったです！頑張ってください (2017年5月17日 15時) (レス) id: 8490ef35d5 (このIDを非表示/違反報告)
ガルシア - 頑張ってください！ (2017年5月5日 16時) (レス) id: 980d9fadba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菊桜 | 作成日時：2017年4月27日 19時
