第5話:第九九八二次実験の結末 ページ16
「出会って二十四時間も経ってない模造品に随分入れ込ンでンなァ」
一方通行は小さく笑い、物珍しそうな目で御坂を見つめた。しかし、ふと表情を消す。御坂が硬直していたからだ。
「何固まって……あ、そうか。今のが第三位の代名詞だったっけェ。……こんなシケたもンだとは思わなかった」
一方通行は頬を掻きながら苦笑いを浮かべる。「なンか無下に処理してすみません。で、この空気どうすべきですかね」という意だったのだが、御坂は苦笑いを完全な嘲笑と受け取った。
「さァて……第三位サンは一戦したいらしィけど……無理か」
「はい。お姉様と一方通行の戦闘は容認出来ません」
御坂は声のした方に振り返る。一方通行が「ですよねェ」と軽い反応を示したが、御坂には聞こえていない。
そこに立っていたのは、数十人の
実験の終了と被害の大きさを、九九八二号の記憶からミサカネットワークを介して派遣された後始末係りだ。
「あァそういえば、自己紹介がまだだっけ」
一方通行はぽん、と手を打って御坂に歩み寄る。まるで、友人に紹介された人物に話しかける様に。
「残念ながら本名は忘却の彼方なンで、能力名の――」
御坂の足は震え、立っているだけで精一杯だった。冷や汗が伝い、瞳孔が揺れる。
「い……間違えた。『
そう告げて、一方通行は実験場から立ち去った。
「九九九五号から一〇〇〇七号まではレールの撤去を」
「一〇〇〇八号以降は――」
後始末の役割を決める
「……アンタ達、何なの……？」
蚊の鳴く様な声で語りかける。
「おかしいよ……どうしてこんな計画に付き合ってるの？ 殺されちゃうのよ？ こんなの……」
「生きてるんでしょ!? 命があるんでしょ!? アンタ達にも……あの子にもっ!!」
実験場――実験が終了した場所に、御坂の悲鳴が響き渡る。
「こんなの……これじゃ一体何の為に……」
御坂の問いに対する答えが仕上がったのか、一人が口を開いた。
「ミサカは計画の為に造られた模造品です。作り物の体に、借り物の心。単価にして十八万円の、実験動物ですから」
うちひしがれる御坂を置いて、彼女達は作業を開始する。
御坂は、何にうちひしがれているのだろうか。
一方通行から与えられた絶望か
双方によって、打ち砕かれた幻想か。
第5話裏:大人買いしたい→←第4話裏:お姉様、あァお姉様、お姉様
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「成り代わり」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ムスカ(ﾊﾞﾙｽしないで)(プロフ) - 凄い面白いです！！原作に近いのに原作とは違うイレギュラー(一方通行ちゃん)の続きが気になります…!!応援してます！ (2017年7月20日 2時) (携帯から) (
レス) id: 73140b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - Σ(ﾟДﾟ)ｽｹﾞｪ!!面白かったです！頑張ってください (2017年5月17日 15時) (レス) id: 8490ef35d5 (このIDを非表示/違反報告)
ガルシア - 頑張ってください！ (2017年5月5日 16時) (レス) id: 980d9fadba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菊桜 | 作成日時：2017年4月27日 19時
