37話っていうか衝撃 ページ37
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「本題なんだけどね…」
「少し、昔話をしてもいい??」
少し不安そうにこちらを見つめ、問う廣宮。
『…うん。いいよ。』
柄にもなく情が湧いたのか、頷いた私。
なんだか長くなりそうだったので、可愛らしい籠に入った飴を1つ、口に放り入れる。
「私の、中学1年の時の話なんだけどね。」
「私、いじめられてた。」
キリッ、とした表情で言い放った廣宮は、昔話(本当にそうな訳だが)でもするように、もう吹っ切れたことだと示しているような気がした。
「特に何もしてないつもりだった。」
「でも、クラスにリーダーが間違えた問題を、本人に指摘してしまった。」
「きっと、その子にとっては、これ以上無いほどの屈辱だったんだと思う。」
「次の日、私の上履きはなかった。」
…まだ、ほぼ小学生だと言うのに。そんなことをしてしまうのか。
いや、中学生という、新しいステージに立ったことで、大人になったと勘違いしてしまったのだろう。
大人や、周りからの言葉に苛立ちを感じ始める歳。
そんな大人に反抗したくて、まだ子供だという現実を認めたくなくて。
きっと、そんな、こんがらがった糸屑の中で、人を虐げる選択をしてしまったんだ。
加害者という立場でありながら、ある種の被害者だったのかもしれない。
「私は今と同じように、涙を零す毎日だった。」
「でも、その年の6月。中途半端なその月に、転校生が来たの。」
…そういえば、私も中学の頃、同じ時期に転校した気がする。
結局馴染めなかったけど、やっぱり中途半端だと思われてたんだな。
「それで…、私はその子に助けてもらった。」
「殴られそうになった私の前に出て、受け止めてくれた。」
私も同じことをした記憶がある。世界は広いものだ。
当時の私は本の虫で、昔の本を読み漁っていた。
受け売りなのか、混ざったのかはよく分からないけど、酷く理想の強い言葉が大好きだった。
「どうして、私なんかを助けるの?」
「そう聞いたら、なんて言ったと思う?」
『…さぁ。私には分からないね。』
だんだんと嫌な予感が積もっていき、私は冷や汗をかきながらもそう答える。
廣宮は構わず言葉を続ける。
なんと言おうとしているのか、わかってしまった。
『「人は皆、平等で無くてはならない。なのに、どうして君だけ虐げられているの?私の美学に、理想に反するから、許せなかったんだ」』って」
廣宮と同じタイミングで、同じ言葉を発した私を、及川達は黙って見つめる。
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すみ - 初めて読みましたが、話の内容凄いですねwある意味ぶっ飛んでて面白いですw (4月29日 18時) (レス) @page42 id: 097dec18f7 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - 最初の方に出てきた夢主ちゃんの友達と友達(?)になった元ゲスイン(笑)で新しく出てきたゲロイン(笑)を叩きのめすーみたいなのリクエストです!国見とマッキーと夢主ちゃんのノリ好き(笑)あと作者様ならきっとトップスターなんだろなって見てみたらスター無くてビックリ (2022年5月7日 3時) (レス) @page42 id: 1c7bf85d9b (このIDを非表示/違反報告)
さむらいp - こ、これを小6で描いてるんすか?天才だしね。かけるんでしょう!素晴らしすぎます (2022年4月4日 17時) (レス) @page30 id: f00775acdd (このIDを非表示/違反報告)
キャンドル(プロフ) - 続編のリクエストです!なんかバレー部でわいわいやってるのが見たいです!とっても面白いですね!俺からも頑張ってください! (2021年12月20日 7時) (レス) @page42 id: ff7e3e1da7 (このIDを非表示/違反報告)
yourei(プロフ) - 緑の白猫さん» コメントありがとうございます。今となってはかなりの黒歴史です笑 (2021年2月22日 22時) (レス) id: 7073094368 (このIDを非表示/違反報告)
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