キス魔の轟君。【轟焦凍】 (ページ14)

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＊発熱＊ページ14

*

ｸﾗｯとした。

「Aちゃん大丈夫？なんかフラフラしてる。」

『んー、大丈夫ぅ...。』

身体は熱いのに、寒かった。

「ちょ、なんでそんな厚着してんの。」

『なんか寒いんだよねぇ、訓練した後なのに。』

そして、目の前がいきなり見えなくなって、

耳鳴りがして、

足が思うように動かなかった。

──「A！！！」

.

.

『...あ、れ...？っ、痛い...。』

重くて痛い頭を起こして、周りを見る。
...ここ、保健室...？

「あんた、倒れて運ばれて来たんだよ。」

まぁ、風邪だから大丈夫さ。

と、私のそばにいたカバリーガールが付け足した。

...風邪、引いちゃったんだ。私。

『...あの、私、これからどうしたら...。』

「なに、ただの風邪さ。薬は出すし必要だったら
アイス枕でも持ってくといい。部屋に戻って
大人しくしてるんだよ。」

あたふたしていた私にリカバリーガールは、
風邪薬や解熱剤、まだ冷えきってないアイス枕を
私に渡し、そそくさと保健室を出ていった。

でも親切に薬の袋にいつ何錠とかが書いてあって
「困ったら連絡するんだね。」と書き置き。

『わぁ、やっぱ保健室の先生ってすごい...！』

.

だいぶ楽になってきたからマスクをして寮に戻る。

『これは毎食1錠ずつ、これが...朝、と夜？』

久しぶりに飲む薬に慣れなくて歩きながら確認
していると、

「A。」

低くて優しい、大好きな声が聞こえた。

『轟君！』

少し駆け足で近寄ると、危ないだろ。と受け止めてくれる。

「...急に倒れて、心配した。」

『ごめんね。私は大丈夫だよ！！』

私がﾍﾗｯと笑うと、轟君は安心そうに微笑む。

うわぁっ、やっぱかっこいいなぁ...。

なんて見惚れていると、

『ひっ、』

可愛げの無い声と同時に、轟君の右手が私の額に
当てられる。

「...まだちょっとあるな。部屋まで運ぶ。」

『えっ、いいの！？』

「そのために来たしな。」

『そうなんだ！ありが......と、？』

待って、轟君、さっきなんて言った？

「俺の首にちゃんと腕巻いてろよ。」

『え？......ふぇっ！？！？』

送ってく？一緒に行く？...いや、全然違う。

『とっ、轟君、これっ、』

『“お姫様抱っこ”ってやつなのではっ、！？』

“運ぶ”って言ったんだ...！！