揺らぐ陽炎。[黒尾鉄朗]

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立ち上がってキッチンへと向かう。

「今日は何を作ろっかなー」

ぼそっと声に出してみる。
父は今日、遅いらしい。
仕事に追われているのだろうか。


冷蔵庫は空。
これは今日もコンビニだなあ。
流石に二日連続の冷やし中華の金額はバカにならない。

節約しないと。
そう考えながら、ラフなTシャツにジーンズを履いて外に出る。


「ありがとうございましたー」
冷やし中華と麦茶を買ってコンビニを出る。
蒸し暑い温風が一気に顔を吹きつける。

勢い良く汗が背中を滑り落ちた。
車のライトがキラキラして見える。

5分くらい漕ぎ続けると、家に着いた。
しっかり鍵をかけると、空を見上げる。
濃紺の空にいくつもの星を見つける。

きらきら、綺麗。

いくら手を伸ばしても届きやしない星。


生温い風と共に焼き肉の匂いがやってくる。

どこかで花火が打ちあがる音がした。

花火、したいなぁ。

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