進んで悪になり得たか。 (ページ9)

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fifty five ページ9

私は死柄木弔に指定された場所へと向かった。

そこは、側からみればたんなるプレハブで、ここをヴィラン連合の本拠地とされているなんてありえないと思うほどだ。

私は本拠地の戸を開けた。

「来たか」

「極道の生き残りが来たんですかぁ？」

「死穢八斎會帰れよ！歓迎するぜ！」

いつぞやのトガヒミコとトゥワイス。

相変わらず変わりないようで。

「敵意を剥き出しにするんじゃない。コイツは今日からヴィラン連合の一員だ。出向でもなんでもない。仲間と同じように扱え。あと、あれ寄越せ。持ってるだろ」

『何を？』

「銃弾だよ、個性消すやつ。早く寄越せ」

『はて、なんのことやら。ていうか、それも目的だったんでしょ。無理矢理にでも奪うようならここで銃弾食べて自害する』

「頑なだなぁ、そんなに大切な物か？」

『大切。だからあげない』

「…まぁいい」

私は一人一人視認した。

昨日あったMr.コンプレス。スピナー。トガヒミコ、トゥワイス。

『あと一人足りないんじゃないの？』

名前は知らないけど、確かいたはずだ。

「あぁ…そのうち会える」

それにしても、汚いプレハブだ。埃混じりの空気に、穴が空いたソファ。割れた窓ガラス。

西沢家とは大違いだ。

『はぁ…嫌だな』

「我慢しろよ。…行くぞ」

「はぁい」

『行くって…どこに』

「どこって、盗みに行くに決まってるでしょ茉莉ちゃん」

Mr.コンプレスが突っ込んでくる。

『盗みは当たり前じゃないから。はぁ…野蛮人にならなきゃいけないのか。ヴィラン連合も色んな意味で大変だねぇ』

「黙れ」

はぁ、怖いことったらありゃしない。