進んで悪になり得たか。 (ページ38)

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eighty two ページ38

あれから3ヶ月が過ぎた。

そして、世界に進展があった。

デクと死柄木弔の決戦があった。

あの場所から遠い遠い刑務所まで飛ばされたせいか、
決戦の情報は、戦いが終わった1週間後に伝えられた。

看守は私と弔の関係を知っていたのか知らないが、その事実を申し訳なさそうに私に伝えた。

なんせ、やっぱり悪役ってのは負けるもので。

今じゃ世の中は平和安泰。

崩壊した建物を修復する作業こそあるものの、被害者を最小限にまで抑えたらしい。

私はそのことを聞いてもちろん泣いた。

ご飯も喉を通らなかった。

でも、唯一救われたことは、弔が生きていること。

3ヶ月の間にできたタルタロスの地下深くに収容されているらしい。

明るみに出てくることは、もう二度とないと、そう伝えられた。

私は、暗い気分で本を読んでいた。

何もかも、どうでもいい。

そんな気持ちにさえなっていた。

「…茉莉」

廻さんは、大切な人を失った辛さを知っている。

だから、何も言葉をかけてこなかった。

私がどんな気持ちでいるか知っているから。

すると、看守が私達の部屋の戸を叩いた。

「お前らに面会人がいる、ついて来い」

さっさと動け、と私達を促す。

『誰ですか』

「お前の気持ちはわかっているが、大切な面会人だ。しっかりと時間を使え」

看守がドアをガチャリ、と開けた。

廊下よりも明るい照明が、私達を照らす。

『…え』

部屋にいたのは…。