進んで悪になり得たか。 (ページ25)

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seventy one ページ25

私はその場を駆け出した。

ヒーローと組織がいない、誰もいない場所を目指して。

『もうっ、なんで…！』

どうして、こんな気持ちになってしまうのだろう。

私は、一体どこで人生が狂ってしまったのだろうか。

いや…もしかしたら、最初からなのかもしれない。

『会いたいっ…クロノさん、廻さんッ…！』

弔…。

今すぐに泣いてしまいたい。

でも、そんなことはできない。

もう、嫌だよ。

廻さんや弔が目指したヴィラン社会。

そんなもの、いらないから…。

皆と会わせてほしい。

その後になら、なんでも償おう。

死刑も受け入れる。

だから…。

『いたっ…！』

足に躓き、その場で転びこむ。

『そうだ…』

木影や、西沢さん達がいるではないか。

いや…その可能性はもう薄い。

避難指示が出されて、彼らが表に出た瞬間きっと警察達が駆けつける。

顔はバレてしまっているのだ。

じゃあ、私に居場所は？

もう、ないの？

『もう、いやだ…』

すると、遠くから大きな物音が響いた。

その瞬間、建物が一斉に崩れ始める。

その崩壊に、私は見覚えがあった。

私は崩壊のヒビから逃げるように飛び上がった。

逃げ遅れた人達が、次々へと塵になっていく。

やはり、彼だ。

『弔…』

弔なら、きっと大丈夫。

また…私の頭が冷えたら戻ろう。

それまでは、彼らには会いたくない。

"仲間だろ！"

トゥワイスの言葉が頭に響いた。

心からそう思ってくれていたのは、彼だけなのかな。

…もう、考えるのをやめよう。

私はフードを深く被って、後ろを振り返った。

『またね、弔』

しばらくは、このままでいさせて。