進んで悪になり得たか。 (ページ18)

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sixty four ページ18

そして、ついに死柄木弔の部屋へと着き、私は3回ノックをした。

『…私、だけど』

「入れ」

私はドアを恐る恐る開けた。

そこには、髪が白くなり、義指をつけた死柄木弔がベッドの上に座っていた。

『何の用…ですか』

「あぁ、あのビデオ見たのか。そりゃそんな反応になるか。あの死穢八斎會の娘だもんな。普通にしてろ。…あぁ、ついでに死柄木弔って呼ぶのやめろ。弔でいい」

『と、弔…』

「お前に来てもらった理由は単純だ。お前と二人きりで話がしたかった」

弔はベッドから立ち上がって、ドアの鍵を閉めた。

『話って、なんの』

「…まずは、お前の事を罵って悪かったってことだ。クソガキとかな」

『！？』

この人謝るの！？

私は思わずえぇ、という感情を顔に出してしまっていたらしい。

「俺も変わったんだよ、色々と。…あと、」

弔は私の目と鼻の先まで近づいてきて、私の髪をサラリと撫でた。

「お前が好き…ってことだ」

『…はい！？どこからどう飛んでそうなった！？』

「お前を連合に引き入れる時からだ。所謂素直になれなかった…みたいなやつ」

『へ、へぇ…？』

色々と突拍子が過ぎないか？

私がおかしいのか？

『でも、私は…』

「知ってる。若頭がチラついてんだろ」

『…』

「でもお前はアイツをそういう目で見てるのか？」

『そういうわけじゃ、ない。憧れとか、尊敬とか…』

「だろ？じゃあ、何も躊躇う必要はない。…交換条件の時にも言ったな。ヴィラン社会になればアイツをタルタロスから解放して手当を施す。今じゃ財力も連合についた。…口だけじゃないはずだ」

『それは、そうだけど』

私はそっぽを向いた。

怖いとか、無理だとかそういうわけじゃない。

ただ、どういう感情になればいいのかがわからない。

コイツは、廻さんの腕を奪った者。

だけど、こっちも連合の仲間を一人潰してる。

「こっち向け」

『何…ん！、』

口に柔らかい触感が当たる。

私は逃げようと彼の胸板を押すが、それは呆気なく引き止められ、ガッチリとホールドされてしまう。

『と、むら…やめ、』

「こうでもしなきゃわかんねぇだろ。…愛してんだよ」

『そんな、信じられるわけ…』

「お前の為だったら死ねるんだよ、俺は。…まぁ、それは俺の目的を達成してからだけどな」

『…怖い』

「何が」

『幸せになったら、崩壊した時に辛くなる…だから、怖い…！』