進んで悪になり得たか。 (ページ15)

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sixty one ページ15

楽になる、か。

『一つ、教えてやるよ…』

私は崩壊してきた岩に挟まった足を無理矢理抜き出した。

『お前らみたいな組織に入って幸せだったらとっくに幸せなんだよ…！』

「はぁ…」

『なんだっけ、異能解放軍だったっけか…？そんな馬鹿みたいな組織で何か得するわけ？そうは思わないね…』

「…死柄木弔、つまらないやつなのに？」

『…若が一度でも取引したんだ…だったら、私は取引相手も大事にしなきゃね…』

死柄木弔。

実際、まだあまり好きではない。

でも、私が組織に入るときに目を見ていっていたんだ。

オーバーホールも助けてやる、と。

なら、私はその言葉を信じるべきではないのか？

『だから退いてよ、解放軍。邪魔で仕方ない』

「やっぱ連合の考えてる事はわかんねぇわ。馬鹿馬鹿しい」

男は私の額に銃を当てた。

「さようなら、茉莉。少しくらい楽しませてくれると思ったんだけどね」

『さようなら、ね…』

私は手首を掴んで捻り、銃を落とした。

「銃がッッッ！！」

『やっぱアンタ、これがなかったら戦えないんだろ…"無個性"が何してんの』

「うるさい…！！リ・デストロは俺を迎えてくれたんだ…俺が頼りだって、そう言ってくれたんだ…！！」

『…あぁ、そう』

私は隠していた注射器を男の首に思い切り差し込み、毒を注入した。

「あがっ…！？」

『まぁ、無個性だろうが、個性あろうが…邪魔するなら処分しなきゃ。じゃあ、さようなら…無個性の異能解放軍』

男はそのうち、バタっと倒れると痙攣しだし、口から泡を吹いたまま意識を失った。

ぐちゃぐちゃになった片足を引きずって、先ほどからうるさい方へと向かって歩いた。

その場所から青い炎が出ている。

きっと荼毘やら他にも何人かいるだろう。

足から血が抜けていく。

段々頭もぼーっとしてきて、歩くのが疲れてくる。

『はぁ…はぁ…』

私は視界の端でMr.コンプレスの姿を捉えた。

『みす、たー…』

「オイオイ、思いっ切り負傷してんじゃねぇかよ…！トゥワイス、トガちゃんと一緒に茉莉ちゃんも…」

『守らなくて、いい…』

「はぁ！？何言ってんだテメェ！」

何人もいるトゥワイスが、私に向かって叫んだ。

『自分の後始末くらい、自分でする…』

「仲間だろ！？」

『…私は、君達の仲間を殺した、オーバーホールの、仲間だよ…。助ける必要なんか…』