第七話「頼み事」 ページ8
「じゃあ、ヒーローの俺は今日も校内の平和を守ってくるんだぞ!!」
放課後、アルフレッドがいつものようにヒーロー部として校内のパトロールをしている頃。
「で、アーサーに相談があるんだけど、いい?」
「は、お前が俺に相談? 明日は雨でも降るんじゃねぇのか……!?」
「アーサーの故郷は毎日雨でしょ!」
さて、茶番はここまでにして。
「実は七日後、アルフレッドと二人で出掛けるんだ。その時、わたしはアルフレッドに……その、告白しようと思う。」
それを聞くなり、アーサーはニンマリと口角を上げた。多分わたしの想いは幼い頃からわたし達を見ていたアーサーにはお見通しだろうし、恋愛相談だと知って調子に乗っているのだろう。
しかし、相談はそれだけではない。
「相談というか、頼み事になっちゃうんだけどさ……八日後以降、皆でアルフレッドのことを支えてやってくれないかな?」
「……は?」
表情を強張らせて、困惑するアーサー。
分かっている、これが一般的なら反応だ。
今の流れであれば、七日後の告白をいかに寄り良いものにするかどうか、その後どうするかの恋愛相談を受けると思うはずだ。
「な、何言ってんだよ。その役目はいつだってお前だろうが! 頭でも打ったのか?」
「違うよ。アーサー達は、傍で支えてあげてくれればいいから。……お願い、こんなこと頼めるのアーサーぐらいしかいないの。」
わたしが事故に遭った時、アルフレッドは涙で顔をぐちゃぐちゃにして泣き叫んでいた。
「…………わたしがいなくなっても、アルフレッドにはずっと笑ってて欲しいんだ。」
本当は、わたしがアルフレッドを笑顔にできるようなハッピーエンドにしたいけれど。
わたしがそんな未来を迎えることは、絶対に有り得ないのだ。
『でも、八日後に必ずあなたは死ぬ。その未来だけは、絶対に変えないで。 』
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作者名:ひまり@靴下 | 作成日時:2016年2月20日 17時