第六話「約束」 ページ7
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二日目の朝。
目覚まし時計のアラームに目を覚ましたわたしは、即効で身支度を済ませて幼馴染みの部屋へと向かった。
「グッドモーニング、アルフレッド!」
昨日の仕返しとばかりに耳元で叫んでみれば、いくら寝起きの悪いアルフレッドといえど面白いくらいに飛び起きた。
「え……? 早くないかい、まだ朝の六時……」
呆然とするアルフレッドを前に、わたしは眠気を吹き飛ばすように再び息を吸い込んだ。
「いい朝だね、アルフレッド!!!」
「一体どうしちゃったんだい!?」
ここまですれば眠気も吹き飛んだようで、いつものように二度寝をしないまま起き上がった。
さて、昨日は寝坊して遅刻した上にアーサーの逆鱗に触れてとんでもない一日だったが。
今日こそ、無駄に過ごす訳にはいかない。
「早起きは三文の徳、って菊が言ってたじゃない。だからこれからの六日間は寝坊も二度寝も一切許さないからね!」
「……昨日寝坊してたのは誰なんだい。」
アルフレッドの呟きは聞こえないフリをして、ごちゃごちゃに脱ぎ捨てられている制服を拾い上げる。すると、見覚えの無いチラシを見つけた。
「何これ?」
「あっ、それは……!」
一瞬アタフタと慌てかけたアルフレッドだったけれど、すぐ観念したように溜め息を吐いた。
そして、ぽつりぽつりと話し出す。
よく見れば、頬がほんのり赤く染まっていた。
「いつものアイス屋で、七日後に限定アイスが発売されるっていうから……ちょ、丁度君を誘おうと思ってたんだぞ!」
へー、と何事も無かったように相槌を打つ。
チラシには、「この夏限定のチョコミントアイス、発売!」と太いフォントで大きく書かれていた。発売日を眺めながら、わたしは頭のどこかでぼんやりと残りの日数の少なさを悔やんだ。
「いいよ、行こっか!」
「本当かい? やった、じゃあ放課後すぐに行くから予定を開けておいてくれよ!」
飛び跳ねて喜ぶアルフレッドとは対照的に、わたしの心には黒い何かが蠢いていた。
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作者名:ひまり@靴下 | 作成日時:2016年2月20日 17時