第五話「わたし達のこれから」 ページ6
「二人揃って遅刻なんていいご身分だなぁ、お前ら?」
教室に滑り込むなり、仁王立ちをしたアーサーが鬼の形相でわたし達を待ち構えていた。
「どうせまた寝坊したんだろ!」
「いや、今日は俺じゃなくて……。」
「ばかっ、どっちでもいいんだよ!!」
咄嗟に口答えしたアルフレッドに食いついた隙に、アーサーの横をこっそり通り抜けようとする。
しかし、あと少しというところで襟首を掴まれ、わたしはそのまま引き戻されてしまった。
「どーこいくんだろうなぁ、A?」
「一人だけ逃がす訳にはいかないんだぞ……!」
あは、と引きつった笑いが零れる。
それから、アーサーが周囲の人々に止められるまでわたし達に説教していたのは言うまでもない。
「あーもう!! 酷い目に遭ったんだぞ。」
「だからごめんってば……。」
わざとらしく音を立てて席につくアルフレッドを横目に、『こういう子供っぽいところは変わらないなぁ。』なんて一人で頷く。
(これからも、ずっと変わらないんだろうな。)
そこまで思考を巡らせて、わたしはハッとした。
(……そうだ、わたし、アルフレッドに会う為に七日間を手に入れたんだ。)
この七日間が終わればアルフレッドには二度と会えないし、これからも変わらないであろうアルフレッドの笑顔も見ることができない。
「…………頑張らなくちゃ。」
誰に言うこともなく、わたしは呟いた。
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作者名:ひまり@靴下 | 作成日時:2016年2月20日 17時