【APH】八日目の悪夢【ヘタリア】 (ページ29)

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第二十八話「届かない」ページ29

「ねえ。」

アーサーとフランシスは首を傾げる。

「だったら、今もそうすればいいじゃない。」

アーサーは目を見開き、口を引き結んだ。
フランシスは、静かにわたしを睨んでいる。

「どうして、それを今更わたしに言うの。今までみたいにわたしに魔術の話をして、時間を巻き戻せばいいのに。そしたら、また……また、アルフレッドに会えるんだよね？」
「……A。」

アルフレッド。
わたしの幼馴染みで、同時にわたしの好きな人。

自分の命を犠牲にしてまでわたしを助けてくれた、わたしの大切なひと。

「ねえ、魔術を使って全部元に戻してよ。元々、アルフレッドの立場はわたしのものだったの。わたしが死んだの。それで、アイツをちゃんと説得してきてよ。」

しかし、わたしの想いは届かない。

「ダメだ。魔術はもう使えない。」
「どうして！」

「なあA、俺はもう疲れたんだよ。俺にはもう、あんな悪夢を繰り返せる気力はない。わかってくれ。それに、」

特徴的な眉を寄せて、アーサーは今にも泣き出してしまいそうな顔をしていた。

「……アルフレッドに言われてるんだよ。この魔術は二度と使うな、Aは自分勝手だから頑張って説得してくれって。」