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第二十一話「きっと」 ページ22

「A……。」


わたしの肩にそっと置かれた手は微かに震えていたけれど、どこか力強さが感じられた。

「A、大丈夫なんだぞ。」

え、と顔を上げる。
アルフレッドは笑っていた。

「だってそうだろう。ヒーローの俺がヒロインの笑顔を守れなくてどうするんだい?」
「でも……。」
「大丈夫! ヒーローを信じるんだぞ!」

わたしの大好きな笑顔に見惚れていると、アルフレッドはわたしを強く抱き締めた。

「だからきっと大丈夫! 俺はAのことを全力で守るから、そんな風に泣かないでくれよ。」
「……ふふ、何それ。」

思わず笑顔になる。

(わたし、やっぱりアルフレッドのこと好きなんだなあ。)

本当は、このままずっと一緒にいたいけれど。

「アルフレッド。」

わたしは涙を拭い、アルフレッドから離れた。

「ごめん、ありがとう。わたし、やっぱりアルフレッドのこと好きだよ。」
「それならよかったんだぞ!」

ぱっと明るく笑ったアルフレッドに、同じように笑い返す。

「アルフレッド。」
「何だい?」
「…………。」
「A?」



「ごめんね、もうそろそろ時間だよ。」



わたしは笑顔のまま、アルフレッドに背を向けて駆け出した。

目指すは青の信号機。
もう、思い残すことは何もない。
……といえば、ちょっと嘘になるけれど。


(わたしは、もう大丈夫。)


きっと大丈夫。
全て終わってしまうけれど、それでいい。




「っ君は本当に……自分勝手なんだぞ!」



暗転。
目の前が真っ暗になった。

第二十二話「ねえ」→←第二十話「終わり」



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設定タグ:APH , アルフレッド・F・ジョーンズ , 死ネタ   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ひまり@靴下 | 作成日時:2016年2月20日 17時

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