第二十話「終わり」 ページ21
頑張れ、わたし。
わたしなら、きっとできる。
「あ……あのね、アルフレッド。」
なかなか言葉が出てこない。
いつもよりもずっと弱々しいわたしの声は、うるさいくらいに響き渡る蝉の鳴き声にかき消されてしまいそうだ。
「わ、わたし……好き。」
「え？」
「え？ だから、好き。」
「いきなり何だい？」
「えっ。」
「えっ？」
察しの悪い幼馴染みを前に、カチンと頭のどこかにスイッチが入る。
半ばヤケになったわたしはアルフレッドの胸ぐらを掴み上げ、叫ぶように言い放った。
「だから！ わたしは、アルフレッドのことが好きなんだってば！」
ああ恥ずかしい。
熱い。暑くてどうにかなってしまいそうだ。
「A……？」
ついでに目元も熱い。
視界がぼやけてきた。
「泣いてるのかい？」
アルフレッドの胸ぐらを放し、無造作に目元を拭う。
アルフレッドの前で、本当に情けないと思う。
どうにも胸が苦しい。
苦しくて、吐き出してしまいたい。
「……好き、好きだよアルフレッド。」
先程は喉の奥に引っかかってなかなか言葉に出てこなかったのに、皮肉なものだ。
「アルフレッドのこと好きだから、離れたくない。」
本当は、アルフレッドや皆とずっとずっと生きていたい。
できるのならアルフレッドとデートもしてみたかったし、アルフレッドの眩しい笑顔をずっとずっと見ていたかった。
「こんなとこで死にたくない……！ 全部終わっちゃうなんて、いやだよ。」
ヒーローなら、ちゃんとわたしのことを助けてよアルフレッド。
泣きながら縋りつくわたしを、アルフレッドはただただ慌てながら宥めていた。
「A……。」
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作者名：ひまり@靴下 | 作成日時：2016年2月20日 17時
