第二話「衝撃」 ページ3
限定アイスを買い、わたし達は公園のベンチに腰掛けた。学校から走ってきたせいか、汗でシャツが背中に張り付いてしまっている。
「あー……暑いんだぞ!」
「夏だもん、仕方ないよ……。」
真夏日の暑さを嘆きながら、二人してアイスにかじりつく。この夏限定のチョコミントアイス。
「ん、んまい!」
「もうアルフレッド、アイスは逃げないからもっとゆっくり味わったら?」
「Aこそ、そんなにゆっくり食べてると溶けて無くなっちゃうんじゃないのかい?」
そんな冗談を言い合い、二人で笑う。
そしてまたアイスにかじりつくアルフレッドの姿を見ながら、わたしは目を細めた。
(ここでわたしが好きって言ったら、アルフレッドはどんな反応をするんだろう?)
いつだって隣にいるのが当たり前だったアルフレッド。もしわたしがアルフレッドに恋をしていると知ったら、ただの幼馴染みというこの関係はどう変わるのだろう。
変わって欲しいような、このまま変わらないで欲しいような。複雑な気持ちになり、わたしは気を紛らわすようにアイスを一気に頬張った。
「〜っ、ひゅめたい!」
「わ、何してるんだい!?」
隣で驚いているアルフレッドを置いて、わたしはベンチを立った。そして鞄を持って歩き出すと、その後ろをアルフレッドが着いてくる。
「はぁ……君のそういう自分勝手なところ、いつまで経っても変わらないね。」
「変わらなくていいんだよ、何も。」
「何が?」
そう困惑するアルフレッドは、きっとわたしの気持ちになど気付いていないに違いない。
「こっちの話。アルフレッドには教えてあげないよーだ!」
そう言ってアルフレッドを振り返り、わたしは一足先に青信号の横断歩道へと踏み込んだ。
瞬間。
危ない、そんな幼馴染みの声は耳障りな急ブレーキの音に掻き消されたのだった。
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作者名:ひまり@靴下 | 作成日時:2016年2月20日 17時