第十九話「勇気」 ページ20
この夏限定のチョコミントアイスを手に、わたしとアルフレッドは近場の公園のベンチに腰掛けた。
「あー……暑いんだぞ!」
「そうだねえ……どうにかなんないかな。」
本当に、どうにかならないものだろうか。
この期に及んで、わたしの心の中にはモヤモヤしたものが渦巻いている。
(そうだ。わたし、この場所でアルフレッドに告白するつもりだったんだっけ。)
結局あの日は何も言えなかったけれど、今日こそ言わなければならない。
今日を逃したら、本当に全てが終わってしまう。
「A、アイス溶けてる!」
「えっ、あっ、食べなきゃ!」
ぱくり、と気を紛らわすように大きな一口。
冷たくて爽快感があるはずのチョコミントアイスは、あまり味がしなかった。
「んまい!」
隣では、アルフレッドがおいしそうにアイスを頬張っている。アイスは残り少なく、終盤に差し掛かっているようだった。
「A、どうしたんだい?」
「え?」
「さっきから、ずっと俺のこと見てるんだぞ。」
「そ、そんなことないよ! 気のせいじゃない?」
アルフレッドの一言に、顔が一気に熱くなっていくのを感じた。咄嗟に否定して、照れ隠しにアイスをバクバクと頬張る。
(あ……アイス、もう終わっちゃう。)
アイスを食べ終わるということは、この時間ももうすぐ終わり。ベンチを立って目の前の横断歩道へ踏み出せば、もうわたしは。
「頑張らなきゃ、ダメだ。」
最後の一口を食べ終えると、わたしは同じくアイスを食べ終えたところのアルフレッドに向き直った。
「アルフレッド! 大切な話があるんだけど。」
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作者名:ひまり@靴下 | 作成日時:2016年2月20日 17時