第十八話「忠告」 ページ19
先程のアルフレッドが頭を離れないまま、ホームルーム終了のチャイムが鳴った。
わたしはざわつく胸を抑えて鞄を手にして、幼馴染みの元へ駆け寄る。
「アルフレッド、行こう!」
「ああ、早くしないと売り切れちゃうんだぞ!」
楽しみで仕方ないという様子で廊下へ駆けていくアルフレッドの後を追うと、その先にはアーサーがいた。隣にはフランシスもいる。
「それじゃあ、俺達はいくよ。後は頼んだんだぞ、アーサーにフランシス!」
「ああ、分かってる。」
「まあ頑張ってきなよ、アルフレッド。」
はてあの日はこんな会話があったか、と記憶を辿っていると、わたしに気が付いたアーサーがわたしの名を呼んだ。
「A!」
「何?」
アーサーは呆れたように溜め息を吐きつつ、口元を緩めた。
「いいか、車には気を付けろ。……でも、まあ、楽しんでこいよ。」
「うん! ありがとう、アーサー。」
どうやら二度目は、一度目と同じとは限らないらしい。そう納得したわたしの心に、「もしかしたら……」という淡い期待が芽生える。
「A、ボーッとしてないでこの俺に着いてくるんだぞ!」
「あ、待ってアルフレッド!」
何も知らないわたしは、アルフレッドの後ろを追いかけた。
「……アルフレッドが言ったこと、覚えてる?」
「ああ。」
「じゃあ、もう繰り返すことはないね。」
「……アイツには、悪夢が待ってるけどな。」
「それを言うなら俺達も、でしょ。……まあでも、このまま繰り返してるよりかはいいんじゃないかな。アイツらの為にも。」
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作者名:ひまり@靴下 | 作成日時:2016年2月20日 17時