第十五話「アイス」 ページ16
「分かった。分かったから、とりあえずこの手を放してくれよ。」
アルフレッドは言ったけれど、わたしは首を横に振る。
「それはダメ。アルフレッド、また逃げようとするでしょ?」
「俺は逃げないよ!」
「でもダメ。わたし、アルフレッドとちゃーんと仲直りするまではこの手を放さないから!」
はあ、とアルフレッドはもう一度大きな溜め息を吐いた。
「だから、仲直りするって言ってるじゃないか! ああもうそのままでもいいから、とりあえず俺の話を聞いてくれよ!」
「……話?」
そうだよ、とアルフレッドは大きく息を吸い、そのまま叫ぶように言った。
「俺は……俺は、き、君がアーサーと二人きりで秘密の話をしてるのが嫌だったんだよ!」
どくん、と胸が大きく高鳴った。
「大体、何でアーサーなんかと秘密を共有したりするんだい。何かあるなら、いつもみたいに俺に言えばいいだろ? 今までだって、そうしてきたじゃないか!」
珍しく顔を真っ赤にしているアルフレッド。
わたしは、そんな彼をただ見上げていることしかできなかった。
「そ、それは……し、嫉妬? してたってこと?」
「…………そうだったら悪いかい。」
ぼっと音を立てて、わたしの顔が熱くなる。
フランシスが言っていた通りだったのかと感心したり、嫉妬するってことはもしかしてと淡い期待で心を揺るがせたり。
頭の中でぐるぐると色々な気持ちが混じり合って、わたしの頭はパンクしてしまいそうだ。
「……手、放してもらってもいいかい? 近いよ、うん、色々。」
「あっ、うん!」
互いに照れてしまって、その場の空気が甘ったるいものになってしまった。
そんな空気の中で今更仲直りについて言及するのもあれなので、わたしは話題を変えることにした。
「……あ、アルフレッド。」
「何だい。」
「アイス、楽しみだね。」
「…………うん。楽しみなんだぞ、すっごく。」
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作者名:ひまり@靴下 | 作成日時:2016年2月20日 17時