第十四話「溜め息」 ページ15
*
「アルフレッド!」
アルフレッドの後ろ姿を見つけ、わたしはすぐに彼の元へ駆け寄ろうとする。
けれどアルフレッドはびくりと肩を震わせただけで、一向に立ち止まろうとはしない。
寧ろ、その足を早めてしまった。
「アルフレッド、ちょっと止まって!」
「…………。」
「アルフレッドってば! 無視しないでよ。」
何とか追いつき、アルフレッドの腕を掴んだ。
「あ、アルフレッド……ごめん。わたし、アルフレッドの気持ち、ちゃんと考えてなかった。」
アルフレッドはわたしの腕を振り払い、冷たい声色で言った。
「……別に。俺は君に俺の気持ちを考えて欲しかった訳じゃないからね。」
じゃあ、とわたしは口を開く。
「じゃあ、どうしてわたしのことを見てくれないの!」
アルフレッドの蒼い瞳を食い入るように見つめながら、わたしは彼の腕をぐっと引き寄せた。
「わたし、アルフレッドと喧嘩したままなんて絶対に嫌だ。このまま何もかも終わっちゃうなんて、そんなの嫌だよ!」
「何もかも終わるってのは大袈裟じゃ……、」
「大袈裟じゃない! わたしにとっては死活問題なんだから!」
そう、決して大袈裟なんかではない。
未練を晴らす為にわたしは生き返った(?)のに、このままではその意味さえ無くなってしまう。
じっとアルフレッドを見つめていると、観念したのか彼は大きな溜め息を吐いた。
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作者名:ひまり@靴下 | 作成日時:2016年2月20日 17時