第一話「何気ない日々」 ページ2
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ホームルーム終了のチャイムが鳴るなり、わたしは鞄を手にして幼馴染みの元へ駆け寄った。
「アルフレッド、早く行こう!」
「勿論! 早くしないと売り切れちゃうんだぞ。」
今日は待ちに待った限定アイスの発売日。
本当は学校帰りの買い食いは校則で禁止されているのだけれど、今回だけは特別。
「お前ら、廊下は走るんじゃねぇ!」
「わ、アーサー!」
「いちいちうるさいんだぞ! A、行こう!」
「あーもう、車には気を付け……って、もう行ったか。あの馬鹿……!」
口うるさいアーサーの小言を聞き流すのはいつものこと。始めこそ震え上がったものの、今では適当に返事をしておくか聞き流すか。
「車に気を付けろだって……小学生じゃないんだから、言われなくても分かってるんだぞ!」
そう頬を膨らませるアルフレッドを横目に、わたしはそっと微笑する。
アルフレッドと二人で出掛けるのは初めてではない。幼馴染みという間柄なので、寧ろ人よりは多い方だと思っている。
しかし幼馴染みだからこそ素直になれない部分もあって、なかなか難しいものだ。
(今日こそ、好きって言わなくちゃ。)
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作者名:ひまり@靴下 | 作成日時:2016年2月20日 17時