【APH】八日目の悪夢【ヘタリア】 (ページ1)

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プロローグ「歯車」ページ1

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あの日受けた衝撃は、わたしの短い人生の中でも最大のものだったのではなかろうか。

ドラマや漫画ではスローモーションのように表現されていたけれど、実際はほんの一瞬の出来事としてそれは起こった。

一緒に歩いていた幼馴染みより一足先に青信号を渡っていたわたしに突っ込んできたトラックは、正しく「鉄の塊」と表現していいだろう。

猛スピードで迫る鉄の塊に衝突したわたしの体は、いとも容易く吹き飛ばされてしまった。

(あぁ、こんなことってあるんだ。)

痛みで感覚が麻痺しているせいか、わたしは案外冷静に物事を見つめることができた。

事態を把握していると、突如視界に見慣れた顔が映り込んだ。いや、正確には少し違う。

見慣れているはずの顔は酷く歪み、必死で何かを叫んでいる。彼がわたしの名前を呼んでいるのだと気付き、わたしはそっと手を伸ばした。

「……アル、フレッド。」

泣いている彼の髪を撫でると、その箇所から赤い液体が零れ落ちた。それに目を奪われていると、わたしの手がぎゅっと握られる。

「Aっ、大丈夫なんだぞ！救急車、すぐに来るから。だから、だから……！！」

ぼろぼろと溢れる涙を見たのは、何年ぶりだろうか。泣かないで、そう声をかけてあげたいのに、声が出ない。それに、何だか瞼が重い。

こんな終わり方は残念だけれど、我ながら良い人生だったと思う。
良い友人にも恵まれたし、学校生活もそれなりに充実していたものだった。

ただ一つ後悔するとすれば、目の前の幼馴染み、アルフレッドに密かに抱えていた想いを伝えられなかったことくらい。

それでももう少しだけ長生きしたかったなんて思いながら、わたしはそっと意識を手放した。