【歌い手】ラ上司、ら部下。Part4【センラ】

one-hundred‐thirtynine ページ47

蘭賀さいど



『私、は……』



私にとって、歌ってなんだろう。歌い手って、なんだろう。……''らが"って、なんだろう。
慎重に言葉を選ぶ私をうらたんはじっと見つめている。真剣な表情で。



震えが止まらない。この答えを間違えたら、全て失ってしまう気がする。今まで必死に歌ってきた歌を裏切ってしまう気がする。



『歌い手が好き。歌い手って職業がだいすき。……楽しかった、幸せ、だった。』



うらたんはその言葉を頷きながら優しい目で聞いてくれる。私の言葉が途切れたのを確認してからゆっくりと、優しくうらたんは問いかける。



「それは過去形？」



違う。過去形なんかじゃない。幸せなんだ。
ずっと、ずっと。



歌を始めた時、ずっと憧れだったセンラさんが歌ってみたを出していた曲を初めて歌った時、センラさんと、先輩と初めてコラボした時。……ステージに、初めて立った時。




『……ごめんね、うらたん。歌い手は、辞めないかもしれない。でも……今は、歌いたくないなあ、、』



先輩という拠り所を、どこかで失ってしまったような気がした。マイクが、ヘッドホンが、VOCALOIDが。全てが先輩の思い出と重ねて思い浮かんでしまう。




うらたんは私の話をひとしきり聞くと私の肩からそっと手を離した。



合っていた目線が合わなくなる。




「らがちゃん。忘れないでね、俺らはらがちゃんの一番の味方。一番の仲間。…あと二番目の親友。」




お茶目にそう言ってにひひと笑う彼の背中越しにとても不安そうにこちらを見ているあーちゃんの姿があって、その姿を見た瞬間に目からぼろぼろと涙が溢れ出す。目があつい。



『……あり、がと……。』




あぁ、私はなんて恵まれているんだろうか。


✄- - - - - - ｷ ﾘ ﾄ ﾘ - - - - - ✄

近いうちにコメ返し挟みます！
中には5万年越しに返すコメントもあると思うのですがお許しください……。
良かったらコメント残してくださると嬉しいです；；

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