3.どうして? ページ5
その人を視界に入れた瞬間、私の鼓動は速くなった。
馬鹿…なんで…。
「あの、どうしかしましたか?」
「あっ…いえ、なんでもないです。確かにかっこいい方ですね」
黙って、あの人を見ていた私を不思議に思った男性が私に話しかける。
それを誤魔化すように顔の間で手を振ってそう言った。
…間違いない。
あれは、蛇賀君だ…。
もう一度、その男性から蛇賀君へと視線を戻す。
すると、蛇賀君はすぐ私に背を向けてしまい直ぐにまた子供達と遊びだした。
今、こっちを見てた…?
見間違いかな?
私は雄太を見つめる一方で、みんなの中心で楽しそうに歌う蛇賀君を目で追ってしまっていた。
そっか…蛇賀君、お歌のお兄さんやってたんだ。
全然、知らなかったな。
そうやっている内に、いつの間にか収録が終わって周りにいた親達は皆自分の子供を探しにスタジオから出ていっていた。
いけない…!雄太は…どこだろう。
急いで立ち上がり、通路を抜けるとどこにも雄太は居なかった。
「もう…どこ行っちゃったんだろう」
そう呟いて、今度はトイレの方に行ってみようとした時、私の手首が誰かに掴まれた。
「へ…?」
「…前園さんだよね?」
「っ…!」
私の手首を掴んだのは、衣装のままの蛇賀君だった。
私の事、覚えてくれてたんだ…。
「やっぱり…久しぶりだね」
「うん…蛇賀君、お歌のお兄さんしてたんだね。私、全然知らなくて…その」
私がそう言うと、蛇賀君は少し微笑んで「高校卒業以来、会うこともなかったしね」と言った。
…どうして、そんな風に笑ってくれるんだろう。
私は…あの日…。
「あっ…あのね…その……」
言いたい事はちゃんとあるのに、言葉が詰まって上手く話せない。
その私の様子をみた蛇賀君も黙り込んでしまって、二人の間に沈黙が流れる。
そんな時
「あっ!見つけたー!」
そう言って私の元に雄太が走ってきた。
「あっ!雄太…!どこ行ってたのよ…」
私が雄太を抱きとめると、雄太はすぐにそばにあの池照お兄さんがいることに気づいた。
「あっ!池照お兄さんだ!」
そう言って興奮する雄太とは裏腹に何故か蛇賀君の顔はどんどん固くなっていく。
私が「どうしたの」と声をかける前に蛇賀君が暗い声で言った。
「…客席で見たときから分かってたけどそうだよね。前園さん、綺麗だし子供くらいいるよね」
「え!?」
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ちた - 更新楽しみにしてます! (2021年8月11日 1時) (レス) id: daa16f4a74 (このIDを非表示/違反報告)
珍妙な眼鏡(プロフ) - 更新待ってます! (2021年7月27日 10時) (レス) id: 6503161f4b (このIDを非表示/違反報告)
床に寝転ぶ猫 - 初めまして!鏡子さんのうらみちお兄さんシリーズがとても好きです!更新いつまでも待っております!! (2019年8月1日 16時) (レス) id: 52e5b5915e (このIDを非表示/違反報告)
毒蜘蛛 - 更新待ってます^^* (2019年6月2日 1時) (レス) id: a1f2b3bb01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鏡子 | 作成日時:2019年2月20日 18時