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Aは驚いて固まっていると後ろから誰かに引っ張られた。
Aは驚いてそっちを見ると何故か鯉伴が立っていた。
『リクオ君のお父さん?』
「えぇっと」
違う方を見ていた。
『もしかして妖さんも居たんですか?』
「あ、妖さん!?」
『は、はい。ぬらりひょんと言っていましたが、妖さんって何と無く呼んでます。』
Aは皆が心配になり食堂の方を見ようとしたら着物の色が目の前一杯になった。
驚いて顔を上げるとぬらりひょんが立っていた。
『妖さん!』
「先に此処から離れよう。リクオ達にはワシから言っておくからのぅ。帰るぞ。」
ぬらりひょんはAの手を掴んで抱き寄せた。
「親父!」
「鯉伴はリクオ達の事は頼んだぞ。」
『えっ?親父?って事はリクオ君のお祖父さん何ですか!?』
「そんな事はえんじゃ。ほれ、帰るぞ。」
『キャ。』
ぬらりひょんに抱えられて窓から飛び降りた。
そのまま、家に送って貰った。
「Aちゃん、ワシの事気が付いて居ったな。」
『………はい。旧校舎に行く時から誰かに見られていると思ってました。』
「怖がっておったのう。」
Aはぬらりひょんから目を逸らして顔を赤くしていた。
「このままワシの行きたい所について来てくれんか?」
『それは出来ません。帰らないと家族が心配するので。』
「そうじゃのう。じゃが、あんたは今ワシが抱えておる。」
それを言うとぬらりひょんは方向を変えて違うところに向かって行った。
『妖さん!待って下さい。帰らないと明日だって学校なんです。』
「そうじゃったな。今日は帰すがワシにも付き合ってもらうぞ。」
『時間があれば。』
家の前まで来るとAを降ろしてぬらりひょんは手を引っ張りおでこにキスをした。
「いい夢を。お休み。」
『……お、お休みなさい!!』
Aは慌ててぬらりひょんから離れてドアを開けてながら振り返り挨拶をして家の中に入った。
「だっはっははは。今は可愛らしい反応を沢山見せてくれるのう。」
「親父!何やってんだよ!」
「何じゃ、鯉伴。帰ったんじゃ無かったんか?」
「帰れる訳ねぇだろ。親父が本当におふくろを家に送り届けるか心配だったんだよ。どこか連れて行こうとしただろ。」
「何の事だ?ワシはちゃんと送ったぞ。」
二人がAの家の前に立って居るとAの部屋の窓が開いた。
『妖さん、リクオ君のお父さん、今日は有り難う御座いました。』
Aは前世と同じ笑みを浮かべていた。
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作者名:彩夏 | 作成日時:2023年8月27日 23時