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『(此れ、知ってる。)』
「何者も、自分にとって大きすぎる存在と出会ってしまった時その存在を恐れるあまり、気付く事をやめる。
ぬらりひょんはAの方を見た。
『妖さん!』
Aはぬらりひょんに駆け寄った。
『怪我は?大丈夫ですか?』
「大丈夫じゃ。」
ムチがまだ動いているのに気が付いたぬらりひょんが話し掛けた。
「諦めか。ワシのドスにやられたら立ち上がれんわい。しっかし老体にゃーいまっさら刀を振るのは少々キツい。お前の国の言葉で言うと「たいぎなわー」。死ぬ前に言えや。四国からの妖怪がなぜワシを襲うんじゃ?……A、怖い思いさせたのう。」
本来の姿のぬらりひょんにAは抱きしめられた。
『それは良いのですが、ゆらちゃんがもうすぐ来るので好々爺の姿になった方が……。』
階段を上って来たゆらが勢いよくドアを開けた。
ぬらりひょんは好々爺の姿になった事でAはバランスを崩しぬらりひょんを抱きしめる形になった。
「二人共!!」
「おお!?お嬢さん登って来たんかい?」
「二人共大丈夫?私が来たからには……あれ?あの男は?」
「おお?あーいや別に何も無いよ。うむ、奴は去って行ったよ。」
「って夜桜さん、お祖父ちゃん窒息しそうになってるよ。」
『あっ、ごめんなさい。』
Aはぬらりひょんから離れた。
『ゆらちゃん、本当に何も無かったの。』
「何も無かったなんてありえへん!!いくらなんでも分かるで。」
「いやいや待て待て。ワシとAは隠れとったんじゃ。ワシらを見つけられなかったらあの男が一通り暴れて風のように去って行ったぞ。(ムチだけにな…)」
「ほう、風の様に…(ムチだけに……か?)くそ、逃がしたか。もう、とことん自分のダメさが嫌になるわ。もう嫌いや!!弱い自分!」
『そんな事無いよ。私もお祖父さんもゆらちゃんのお陰で助かったもの。有り難う、ゆらちゃん。』
「ホンマ!?ホンマにそう思うん!?怪我とかない?病気になってへん?」
「うむ。」
「良かった。お祖父ちゃんみたいなええ人を…妖怪から守れて。」
「アンナこそ、良い陰陽師になるぞい。」
ぬらりひょんはゆらにそう言うとゆらが見てない瞬間にAとビルから降りた。
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作者名:彩夏 | 作成日時:2023年8月27日 23時