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「うふふ…リクオ様〜行く前は心配でしたけど旅行って楽しいですね。梅若丸なんて妖怪知ってます?」
「つらら。ここ、少し危ないかも知らない。」
「すっごい霧深いなぁ。全然晴れてたのに。」
「ん?なんだ此れ?」
「其れは爪だよ。」
木に爪や爪痕が付いていた。
「此処は妖怪の住まう山だ。もげた爪くらいで驚いちゃあ困る。」
皆が驚いて静かに話を聞いた。
「山に迷い込んだ…旅人を襲う妖怪。名を“牛鬼”という。」
『!!牛鬼……』
「Aちゃん?大丈夫?」
『牛鬼が此処に居るのなら此処は捩眼山ですか?』
「その通りだよ。よく知ってるね。」
「そうだよ!!帰ろ―よぉこんな山!!」
「見てよぉこんなデカい爪―死ぬって〜〜。」
「ほんとに食われちゃうよ〜妖怪に。」
「そうだよ。鳥居さんと巻さんの言う通り。今すぐみんな帰った方が良いよ。」
「よし奴良!!あんたついて来な!!」
鳥居と巻が帰ろとすると清継が引き留めた。
「待ちたまえ!!暗くなった山を下りる方が危険だ!!それに降りてもバスはもう無い。ふふ!!何をビビっているんだ君達!?僕の別荘があるじゃあないか!!この山の妖怪研究の最前線!!セキュリティも当然抜群だ!!」
「セキュリティ?妖怪に?効くかな?」
「使用人が時々来てるが何か出たなんて話一回もないぞ!?君達は心配し過ぎだ!!」
「まぁ、言うても牛鬼なんて伝説じゃから。あの爪も誰かの造り物かもしれんしのう。」
「いや、それは…」
「ほらほら。先生もこう仰ってるわけだしね!温泉と食事が君達を待ってるよ?それにほら!!襲われたとしてもこっちには少女陰陽師花開院ゆら君が居る訳だ!!ねぇ!?ゆら君、大丈夫だよねぇ!?」
ゆらは黙って財布の中を見た。
Aは静かに山の中を見つめていた。
『(捩眼山の牛鬼。夢で出て来た妖さんの知り合い……。此処にいる。及川さんが襲われるし、温泉に入ってたら蜘蛛の妖が襲って来るし…。)はぁ。やっぱり来るんじゃなかった。』
旅館の中に入ると豪華でさっきまで帰ろうとしていた鳥居と巻がテンションを上げた。
「さぁお待ちかね。この奥が特製の温泉だよ。女の子達、先に思う存分入るがいい。」
温泉に氷麗以外が入った。
「来てよかったぁ。妖怪とか全然興味ないけど。この別荘気に行っちゃった。さっすが清継君。もう一生ついてく。」
「巻あんた現金過ぎるよ。」
話していると氷麗が居ない事に気が付いた。
「あれ?つららちゃんは?」
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作者名:彩夏 | 作成日時:2023年8月27日 23時