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Aがそう言うとすごい勢いで走って来る二人が見えたリクオが一歩下がった。
「A！！無事か！！？怪我してないか！？」
「大丈夫だったか？怖い思いさせて悪かったな。」
『………………………。』
Aが何も言わず居る事にぬらりひょんは心配そうに顔を覗き込んだ。
「A？」
『どうして？夢の光景と合うの？貴方達は誰？』
「……(やっぱり忘れていてもワシらの事を覚えておるんじゃのう。)Aちゃん、ゆっくりでいい。ワシを知っていってくれんか？」
ぬらりひょんがAの手を掴んで言った。
「何を言っているんですか？！彼女は人間なんですぞ！それにリクオ様と同い年ですぞ。」
「そんな事分かっとるわ。」
「奥方の事はどうするんですか？」
「此処に居るじゃろうが。」
「確かに似ていますが……夜桜？まさか！！」
「そのまさかじゃ。」
「瓜二つですものね。驚きました。」
「首無、気が付いたか。」
「はい。一緒に居る時間は短かったですがよく覚えています。」
Aは自分の目の前で話されている内容が全く分からず困惑していた。
『あの、妖さん？』
「うん？どうしたんじゃ？」
『どうして妖さんは私に優しくしてくれるんですか？』
「愛してるからじゃ。」
ぬらりひょんがそこ迄言うとAは驚いて目を見開いた。
妖怪達は驚いて声を上げていた。
その様子を離れた所から見ている三つの影があった。
「だからA、ワシと夫婦になろう。」
烏天狗は何も言えなくなった。
「あんたは特別な存在だ。ワシはずっとあんたを見て来たが、その思いはいや増ばかりじゃ。平たくいやぁあんたに惚れた。A、ワシの妻になれ！！」
『どうしてその言葉を知っているのですか？』
ぬらりひょんが笑ってまた今度は違う言葉を言い始めた。
「なぁ、一緒になろう。ワシは天下を取る…その為にはお前が必要なんだ。」
『妖さん。』
「あんたの力が欲しいんじゃねぇ。側に居ろって言ってんだよ。明日また、来るぜ。」
二人の様子を見ていた鯉伴がため息を付いてぬらりひょんからAを引きはがした。
「邪魔をするな、鯉伴。」
「おふくろ、泣いてるけど？」
Aは涙を流していた。
「あんたは泣き顔も綺麗じゃのう。」
『貴方は本当に何者なの？どうして？あれは夢でしょ。なのにどうして知っているんですか？！』
「いずれ分かる。今日はもう遅いからのう。送って行こう。」
「なら、俺も行く。」
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作者名：彩夏 | 作成日時：2023年8月27日 23時
