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「ちょっと待てよ。『珊瑚の海』って国は国自体が海の底に居あるはずだろ。鰓もひれもない俺達には滞在することすら難しい。こっちの条件が厳しすぎるんじゃねぇのか。」
「そうだそうだ。俺様、水の中じゃ息が出来ねぇんだゾ！」
「その難問を自分で乗り越えてこそでしょう……と言いたい所ですが、ご安心ください。君達には水の中で呼吸が可能になる此方の魔法薬を差し上げます。海の魔女も、人間に恋した憐れな人魚姫に陸を歩ける足を付けてあげたそうですから。大切なのは慈悲の心―――ですよ。フフフ。さあ、どうします？僕と取引し、契約書にサインしますか？」
『担保は私のユニーク魔法。
ユウが割り込んできた。
『オンボロ寮だったら住む所が無くなる。私の髪と瞳と声って対価としてイマイチ合ってないと思う。なら、私のユニーク魔法の方が……「絶対に駄目！！Aのユニーク魔法を担保にするならオンボロ寮を担保にした方が良い！」それは駄目だ。私の力で済むならそうするべきだ。』
「僕も暇ではないんです。早く決めて下さい。さあ……さあ！」
「契約します！」
「いいでしょう！ではこの契約書にサインを。」
『サインする前に読ませて……』
契約書を読もうとするAからユウが契約書を奪って自分の名前を書いた。
『ユウ！』
「これでお願いします。」
「ふふふ……確かに頂戴しました。これで契約は完了です。三日後の日没までに、アトランティカ記念博物館から写真を奪い僕の元へ戻ってくることが出来れば僕の下僕である225名のイソギンチャンク達の自由を約束しましょう。でも、もし奪ってこられなればオンボロ寮……とAさんのユニーク魔法は僕のもの。そして貴女達もまとめて僕の下僕になってもらいます！」
「待って下さい！どうしてAのユニーク魔法もなんですか！？」
「契約書をちゃんと見なかったあなたが悪いんでしょ。」
ユウは絶望した顔を浮かべていた。
Aは優しくユウの頭を撫でた。
『心配要らない。負けなければいい。』
「うん、絶対に負けられない！」
「ジェイド、フロイド。お客様のお見送りを。三日後を楽しみにしていますよ。」
ジェイドとフロイドと共にオンボロ寮に戻った。
「ほう、此処がオンボロ寮。中には初めて入りましたが。中々趣のある造りですね。学校からも近いですし、『モストロ・ラウンジ』の二号店にぴったりの立地です。」
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作者名：彩夏 | 作成日時：2023年3月13日 2時
