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『大丈夫?アズール君。』
「えっ!はい、私は大丈夫です。」
『そっか。』
側に居るフロイドはAが震えているのに気が付いていた。
「A。あっちで落ち着くまでいよ。」
『うん。』
二人は泳いで離れて行った。
「あの様子だと当分、水槽から出てくる事は無いでしょう。」
「そうですね。僕達も一緒に居た方が良いかもしれませんね。」
アズール達も水槽の中に入った。
「監督生さん。」
「はい!」
アズールとジェイドは冷めた目を監督生に向けた。
「フロイドの言ってた通り、フロイドにも僕達にも彼女にも二度と関わらないで下さい。」
「では。」
それだけ言うと二人も奥の方に行ってしまった。
「なんだよ、あれ。アズールが悪いのに俺達が悪いみたいになってんじゃん。」
「ま、まあまあ。今は寮に戻ろ。明日には元に戻ってるよ。フロイド先輩もアズール先輩もジェイド先輩も。」
監督生はそう言うとグリムを連れて『モストロ・ラウンジ』を後にした。
その名前の中にAの名前は無かった。
「おい。草食動物。」
レオナが監督生を引き留めた。
「先に言っておくがもしあいつ、Aに手を出してみろ。俺も黙ってねぇからな。」
「はははは。レオナさん、それじゃあ分からないっスよ。この学校の生徒で彼女を傷つけたらフロイド君に……って噂があるぐらいっスからね。まあ、彼女の事を気に入ってる先輩達も大勢いるッスから気を付ける事っすね。」
「あの女の人は誰なんスか?」
「A・ヴァッサー。二年であいつらの幼馴染だ。」
「詳しいんですね。」
「今もッスけど、フロイド君が一人で話している事が多く最初の頃は俺達は不思議に思っていたらそしたらよく見てみるとフロイド君の隣に彼女が居て皆が驚いていたッスよ。フロイド君が一人で話している時は彼女が横に居ると思った方が良い。それに気付かなかった奴はもれなくフロイド君、ジェイド君、アズール君によってボコボコにされてたから。本当に気を付けた方が良いっスよ。」
ジャックは顔を歪めた。
「あいつらはAの事が大事だからな。引き留めて悪かったな。行くぞ、ラギー。」
「はいっス、レオナさん。」
二人が先に帰って行ったのを見て監督生達は少し考えこんだ。
「大丈夫だって。あのフロイド先輩の事だし明日になったら忘れてるって。」
「だ、だよな。フロイド先輩は気分屋みたいだしな。」
「そうなんだゾ、ほっとけばいいだゾ。」
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作者名:彩夏 | 作成日時:2023年1月16日 2時