間違っちゃいない Ⅱ (ページ32)

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「 … カメラ。… にいちゃんと、おなじ」

ほぼ奇跡に近い形で、望は誕生日を迎えた。

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そん時はもう話すのすらしんどいくらいで、

リクライニングを少し起こしたベッドに
怠そうに身体を預けていた。

" 誕生日プレゼントに何が欲しい？ "

と聞いたら、意外にも「カメラ」と返ってきた。

「 … なんで？」

「撮って… みたい、から？」

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ご飯を食べる時、箸も持てんくらいやし
カメラなんて重いもん持ったらしんどいやろう。

… で、選んだのがインスタントカメラ。

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「オイ、俺ばっか撮るなや～～」

「 … にいちゃ、… おもしろっ」

売店で買った花とか、りんごとかぬいぐるみとか。

被写体になりそうなものをたくさん持ち込んで、
ベッドのテーブルに置いてやったのに。

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… 望はフィルムが切れるまで、何故か俺を撮り続けた。

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そして望は、現像された写真を見ることができなかった。