3話 その人 ページ4
「ただいま〜」
挨拶をしたところで一人暮らしの為帰ってきた報告をする相手はいないが一人で暮らし始めてからの習慣で癖になってしまった。
荷物を投げ、疲れた体をソファに沈めた瞬間スマホに着信が入った。
「はい、もしもし。」
着信の相手は、兄の同居人である雨月さんだった。この人が電話をくれることはあまりないため珍しい。大体いつもメールで済ませているが、急用か？
「秋桜、今日暇？」
珍しい電話だったが急用ではなく夕飯の催促のような気がする。
「暇ですよ。夕飯ですか？」
「さすが秋桜。今日秋彦バンドだから夜いなくて僕は夜何もなくて一人だから秋桜にご飯作ってもらおうかなって。そんでそのまま泊っていってよ。」
今日兄は居なくて自分も夜に用事がないため寂しいから家に来いとのことだろう。いつからこんな都合がいい存在になったのだろうか。それでも拒めないのは好きのせいか。
「わかった。何食べたいですか？」
今さっき座ったばかりのソファから腰を上げまた出かける準備を始める。
「ん〜、何でもいいな。」
「ん。じゃあ、一緒に買い物行きましょ。そんでそこで何食べるか決める。」
「わかった。早く来てね。」
「ん。」
俺は所詮兄の代わりだとわかっている。時折、雨月さんの俺を見る目線が兄さんを透かして見てるように感じる。どうにかむなしい気持ちと愛しい気持ちを抑えながら電話を切る。この気持ちが報われることはないと理解している。雨月さんは多分この先一生兄さんが好きだ。嫌いになる事なんてない。これから先、自分の存在がどんなに都合がよくなろうと雨月さんの心のよりどころ位にでもなればと上辺だけの綺麗ごとを自分に言い聞かせながら今日も気持ちにふたをした。
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ほう0104(プロフ) - FSさん» コメントありがとうございます。続きは作成中ですので気長に待っていてもらえれば幸いです。 (1月26日 2時) (
レス) id: 3ae1de1c88 (このIDを非表示/違反報告)
FS(プロフ) - 同じように雨月くんが報われて欲しいなと思って占ツクで検索しました。続き、楽しみにしています。 (1月11日 20時) (レス) @page5 id: 46d612965a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほう0104 | 作成日時：2023年10月29日 18時
