1話 あの日 ページ2
2つ上の兄に紹介されたあの日から俺は徐々におかしくなったと思う。
兄と同教生であるその人は天才であった。世界に名をとどろかせるヴァイオリニストであるその人にとって俺という存在は所詮同級生の弟という立場が精一杯で、きっかけがなければ決して交わることないその人に俺は恋をした。
その人と兄が惹かれあっていくことは必然であり、2人とそれなりの時間を過ごしていくうちに嫌でも気づかされたこともあったから、この気持ちを伝える気は全くなく一生抱えて生きていくつもりでいた。
この誓いを立てたすぐ後に2人は付き合いだしたことを報告された。
2人を応援したいのにこの恋心が邪魔をして2人と今までどうやって話せていたかわからなくなり、いつしか大好きだったヴァイオリンも楽しくなくなりやめた。
周りに辞めた理由を聞かれたがどう返したか覚えていない。
恋とは思ったより厄介なもので、それからは自暴自棄になり表ではいつも通りの自分でいるようにしたが気づかれないように誰かも知らない人たちと体の関係を持つようになっていった。
しっかり勉強はしていたので高校受験は何の問題もなく、高校進学と同時に一人暮らしを始めた。
そんな俺に追い打ちをかけるように兄とその人は別れたと聞かされた。兄たちはいつも事後報告だった。付き合ったときも同棲するときも。
久々に兄と食事に行くことになり自身の近状報告をしていた時にいきなり「そう言えば雨月と別れた」と言われ啞然としている俺をおいていくように話題を変え話し出す兄に何も言えなかった。
2人が別れたと知らされた後から、なぜか兄とその人は頻繁に俺へ連絡してくるようになった。たびたび家へ呼ばれるため2人がまだ同棲していてその上体の関係があることは嫌でも気づいた。それなのに俺を呼びつける理由が分からなかったがそれでも懲りずに二人と関係をつづけている自分も自分だなと思った。
そんな俺も趣味は人並みに楽しんでいる。ヴァイオリをやめてからはベースと作曲を始めてそれを知った兄からバンドに勧誘されたりもしたがたまに顔を見せるだけで勘弁してもらった。
そんなこんなで兄の同級生兼元恋人の村田雨月さんへの恋心をなくすために俺は今日も気を紛らわせるのに必死だった。
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ほう0104(プロフ) - FSさん» コメントありがとうございます。続きは作成中ですので気長に待っていてもらえれば幸いです。 (1月26日 2時) (
レス) id: 3ae1de1c88 (このIDを非表示/違反報告)
FS(プロフ) - 同じように雨月くんが報われて欲しいなと思って占ツクで検索しました。続き、楽しみにしています。 (1月11日 20時) (レス) @page5 id: 46d612965a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほう0104 | 作成日時：2023年10月29日 18時
