【鬼滅の刃】鬼を以て鬼を制す 参

百三十三話:不器用 ページ49

Aside




炭治郎達と別れて、屋敷に帰る前に
実弥の元へ向かった


部屋に向かうと丁度良く目を覚ましたみたいで



『あ、起きた？』

実「あ？Aか」

私は側に行って水を渡す


『はい、飲みなよ』

実「ああ」



私は言う


『気絶するぐらい強く蹴ってごめん...』

実「そんなの気にしてたのかァ
俺が気絶するぐらい弱かっただけだから
気にすんなァ」

『...お姫様抱っこされるのも
実弥が弱いからか』


実「！？今なんつったァァ？」

『気絶した実弥を蝶屋敷に運んだの私
お姫様抱っこして運ん＿＿＿』

実「丁寧に説明しなくていい！！」



叫んだ後天井を仰ぐ実弥


『もしかして気にしてる？』

実「女に担がれるとか男の沽券に
関わるだろうがァ」

『ふっ、あははははっ』

実「笑うな！」





ひとしきり笑った後言う


『そうだ、さっき玄弥に会ったよ
ねぇそろそろちゃんと話を＿＿』

実「俺に弟はいねぇ」

『...』




なんで、なんでなの

家族なのに＿＿＿




実弥とは境遇が似てる

親を手にかけた事や家族を失ったこと


けど私とは違う事がある

まだ家族が居る事だ





『馬鹿』

実「あァ？」


『馬鹿って言ったの聞こえなかった？
なんで玄弥にそんな態度取るの
唯一残った家族に突き放される側の気持ち...
考えた事ある？』

実「...何が言いたいんだァ」




少しだけ俯く


『実弥はさ、まだ血の繋がった家族が
ちゃんと居るんだよ、大事にしないと
失ったらもう会うことも話すことも
出来ないんだよ？』

実「だから失わない為にしてるんだろうが」



実弥が本当に小さい声でボソッと呟く

それをいまいち聞き取れなかった


『今なんて？』

実「何でもねぇよ
人の家族事情にあまり首突っ込むなァ」




そう言って横を通り過ぎて部屋を出ていって
しまった

一人取り残された部屋で小さく呟く


『馬鹿』




やっぱり家族って...思ってるじゃん


なんで兄って、こうも不器用なの...



今は亡き兄の姿を思い浮かべる

あいつも、家族を大事に思ってるのに
そのくせ不器用で＿＿


いつの間にか手の届かない遠い場所に
行ってしまった





死んだらもう、何も出来ないんだ

後で後悔するぐらいなら
今からでもいいからちゃんと向き合って
たった一人の家族を大事にしてやれよ


どんなに突き放したって無駄なんだよ

妹や弟は必死で兄を追いかけるんだから




『本当に馬鹿、阿呆＿＿＿不器用野郎』


そう呟いて部屋を出て
屋敷に帰った

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