七十五話:記憶3 ページ30
義勇・錆兎side
闇の中を進んでいくと再び違う光景が
映し出された
何処かの施設
周りにはAと同じような子供が何人も居た
そこでAを見つける
すると、Aは軍服を着た大柄な男に
蹴られて床に倒れた
義/錆「「...!」」
『...』
思わずその男に掴みかかりそうになるが
干渉出来ない事を思い出し
何も出来ない事に無力さを感じながら
光景を眺める事しか出来なかった
Aの表情は変わらなかった
むしろ、ずっと冷たく感情のない瞳で
抵抗もせずにその男を見ていただけだった
「覚えが遅いんだよ
他の餓鬼共もロクに出来ねぇしよ」
___お前らの教えが悪いだけだろ
痛ぇんだよ、きったねぇ靴で蹴りやがって
蹴ればいいと思いやがって
馬鹿の一つ覚えもいいところだよ
さっさと死ね
Aが冷ややかな目で心の中でそう言う
言葉は荒々しく、子供にしては悪すぎると
思える程だった
すると、無反応なAに苛ついた教官が
Aの頭を掴み、床に叩きつけた
『...ッッ!』
ゴンッと鈍い音がする
それから無抵抗なAの鳩尾に容赦なく
蹴りを入れる
細く、小さいAの体が床を転がる
怒りと憎しみ、嫌悪感が伝わる
『カ、ハ...ッ、ゲホッ、ゲホッ』
苦しそうに咳き込み、呻く
お腹を押さえながら起き上がり
殴られて口の中が切れて
口の中に溜まった血を吐き捨てる
___くそっ、いってぇな
頭痛い...馬ッ鹿じゃねぇの?
ほんと大人って...大ッ嫌い
それから少し場面が変わり
子供同士で殺し合いをしているのを見た
その中でAは相変わらず冷たい目で
まるで全てに興味がないように
淡々と、簡単に相手の子供を殺した
その過程で、周りの子供から
「人でなし」「バケモノ」だと罵られても
Aは何も言わなかった
この頃のAの感情の起伏はあまりなく
あったのは周りの子供や大人に対する
怒り、憎しみ、嫌悪感だけだった
再び真っ暗な空間に戻る
ロクな環境で育ってこなかったのだと知った
あんな環境にいたら自分だったら
どうなってしまっただろう
子供同士で殺し合いをさせられて育った
十になるまでに何人も殺した
そこでAの母親の言葉を思い出す
___Aを嫌わないであげてね
嫌える筈がない
生きてきた環境がこうだったんだから仕方ない
ずっとAの感情が伝わってくる
この感情を知ったら
嫌えるわけがないじゃないか
俺達は再び歩みを進めた
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来羅(プロフ) - 璘さん» ありがとうございます!無惨様は無惨様だから(は?)夢主と会って多分痛い目見ると思いますよ!諦めるかどうかは微妙な所ですけど(^_^;) (2019年12月1日 12時) (レス) id: 6a0971bec3 (このIDを非表示/違反報告)
璘 - 楽しく読ませて頂いております!夢主を鬼にしようとか無惨アホだなぁと思いながら見てます。無惨の事だから嘗めて掛かると思うので痛い目に遭って諦めて欲しいです。更新頑張って下さい(*´ω`*) (2019年11月30日 22時) (レス) id: c098776017 (このIDを非表示/違反報告)
来羅(プロフ) - 十六夜さん» ありがとうございます!応援すごく嬉しいです!がんばります! (2019年11月24日 20時) (レス) id: 6a0971bec3 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - すごくよかったです!これからも応援してます!! (2019年11月24日 17時) (レス) id: 15eeb3cf2b (このIDを非表示/違反報告)
来羅(プロフ) - 黒豆粉さん» 応援ありがとうございます!頑張ります! (2019年11月23日 15時) (レス) id: 6a0971bec3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:来羅 | 作成日時:2019年11月16日 18時