【鬼滅の刃】鬼を以て鬼を制す

三十三話:母の言葉 ページ36

Aside




＿＿＿＿＿、A＿＿＿



声が聞こえる

懐かしい、優しい声


目を開けるとそこは真っ暗で
夢なのか感覚が可笑しい




気付くと目の前には＿＿＿


『...お母、さん？』


そう、私が幼い頃に亡くなった母が居た
私は全然記憶になくて、写真でしか姿を
見たことがなかったのだが

優しい声にはすごく聞き覚えがあった


五条 紫鶴

それが母の名前だ
私も柊になるまでは五条だった

父からよく聞いていた、素晴らしい女性だったと



すると母は少しだけ悲しそうに笑う


母「ごめんね、A
Aにばかりつらい思いをさせて」


その言葉に自然と涙が溢れる

『...ｯ、それはっ』


母「私が引き金になって
お父さんもお兄ちゃんも居なくなって...」

『違う！』



そう、違うんだ

確かにお母さんが死んでから
お父さん...

五条 秀我(しゅうが)は私達家族に対して
過剰に過保護になって
その結果、私を守る為に...罪を犯した



兄の...五条 晴明(はるあき)も
私を守ろうとして死んだ



父も兄も私も“家族”に執着して
その結果がこれだ

“家族”の為ならなんでもする
自分が死ぬこともいとわない
もはや病的ですらある位の執着


“家族”が居なきゃ私は生きる理由が見つからない



『お父さんも晴明も私が殺したようなものだ
私が殺した、私のせいで死んだっ』




そう、物分かりが悪い子供の様に呟くと
母は怒った顔をした



母「ここは親らしく説教の1つでも
してみましょうか＿＿＿

何馬鹿な事を言ってるの！
お父さんも晴明もAに殺されたって
思いながら死んだと思ってるの！？
Aを守れてよかったって思ってたに
決まってるじゃない！

父親や兄ってのはそういうものなのよ！
私とは違って父親と兄らしく生きた二人を
殺したなんてたった一言で片付けるな！」



夢とはいえ、こんな説教をされるとは
思わなかった

『でも』

母「“でも”も“けど”も聞きません
いい？二人共、Aに生きてほしくて
未来を託したの、私もよ」

『...』



母「家族を守れなかった事を悔いているなら
新しい家族を守りなさい

出来たんでしょう？守りたいと思った家族が
なら、その家族の為に命を尽くしなさい」


『...ｯ』




母「出来るわよ、私達の子なんだから
見守ってるから＿＿＿」


すると姿が消えていく母

『...！待って...ｯ』





母「あなたを待つ家族の所に帰りなさい」









そこで、私の意識は現実に引き戻された

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