東卍の白豹

41話:喧嘩の理由 ページ42

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真一郎は雪に手当されながら聞いた


真一郎「どうして、イザナと喧嘩したんだ？」

『...怒る？
その、真一郎君の弟をボコボコにして...ごめんなさい』



シュン...とした顔をする雪
それはまるで怒られるのを怖がる子供のようで＿＿＿


真一郎は罪悪感に胸を痛めた

そんな真一郎にワカが一瞬、鋭い眼光を宿して睨んだ




自分もボコボコにされたが
こっちも負けずにボコボコにしてやったのだ
弟に何怪我させてるんだと怒られても仕方ないと覚悟した




真一郎「い、いや...怒りはしねぇよ？
たからその顔やめような？」

『ほんとに怒らない？』


真一郎「怒らないって、寧ろ謝るのはこっちだろ？
女に手ェあげて、しかも顔に傷作っちまった...
後でイザナ捕まえて謝らせるから」





“何処まで優しいんだこの人は”と思いながら
雪は俯く



『あのね...真一郎君
私がイザナを怒らせちゃったの』

真一郎「...」




『“8代目黒龍の総長になる、オレについてこい”
って言われた

けど私、断ったの
マイキーについていきたいって思ったから
マイキーが創るチームの特攻隊長になるつもりだったから


そしたら、“お前もオレを裏切るのか、見捨てるのか”って
イザナが怒って＿＿＿
思い通りに行かなかったから
全てを“暴力(チカラ)”で捻じ伏せようとした
私はそのやり方は間違ってると思った、だから＿＿＿』






必死に言葉を紡ごうとする雪を見て
真一郎は優しく手を伸ばすと、頭を撫でた



真一郎「雪、もういい、ごめんなお前にこんな事させて
弟の間違いを正すのは本来なら兄貴であるオレの役目だ
だから、そんな泣きそうな顔すんなよ、な？
オレ、雪に怒ってないから」

『...っ』




真一郎は雪の頭を撫でながら続けた



真一郎「男ってさぁ、成長したつもりで得意になっても
心はまだガキのまんまでさ
イザナも雪が欲しかったのに手に入らなくて
それが気に入らなかったんだろうな
すぐ解決する方法ばっか選んじまって
それが間違いだとか1ミリも考えてないんだ」


『...真一郎君』

真一郎「なんだ？」






雪は“あの時”のイザナを思い出して
考えたくもない嫌な未来が予想できた





『多分、イザナの代で黒龍は変わる
悪い方向に＿＿＿』


"初代黒龍の志は失われる"





まるで予言のように言う雪に全員が目を見開いた


『私の勘はよく当たる＿＿＿』





その言葉が現実になるのはそう遠くなかった

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