東卍の白豹

14話:電話2 ページ15

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こんなに取り乱したワカを見たのは初めてだった
ヒュウッと嫌な音がする


慶三「おいワカ！！落ち着け！！」

真一郎「息吸うだけじゃなくちゃんと吐け
ほら、オレに合わせろ」





ワカの対応を2人に任せ、武臣はまだ繋がったままの携帯を
拾って電話の向こうの相手と話をする



武臣「わかりました、すぐ向かいます。

＿＿＿おい、オレが車出すから今すぐ病院行くぞ、準備しろ
ワカは病院つくまでに息整えとけよ」







武臣のお陰でそこからはスムーズに進んだ




病院に着くと手術室の前に案内される


するとそこには見覚えのない黒髪の少年が不安そうな顔で
立っていた

その少年は真一郎達に気付くとビクリと肩を震わせた




真一郎は少年の目の前まで行くと
目線を合わせる為にしゃがむ


そこで、何かが焼けたような、焦げた匂いが鼻を掠めた




真一郎「こんな所でどうしたんだ？
もしかして雪の友達か？」

九井「っオレは...九井一です
その...貴方達はあの人の家族、ですかっ？！」

真一郎「雪の家族はコイツな、ワカって言うんだ
オレは真一郎、それとタケオミにベンケイ
オレらは友達だ」




なるべく怖らがせないように笑顔で紹介をしていく
九井一と名乗った少年は泣きそうになりながら
その場に膝を付いたかと思えば、真一郎達に土下座をした



真一郎「！？なんで土下座なんて＿＿＿」


やめてくれと言おうとしたらそれを遮って





九井「すみませんでした！！」

真一郎「な、なんで謝るんだ？顔上げろよ、な？」
若狭「...」



九井が謝罪をしてきた
真一郎は必死に頭を上げさせようと声をかけるが
九井は断固として頭を上げなかった
その光景を他の3人は黙って見る





九井「今初めて、あの人の名前を知りました...ｯ
雪さんはっ、オレの友達と、その姉を...
燃えてる家の中から助け出してくれて＿＿＿ｯ」




「は？」と声を上げたのは誰だったろう
詳しい事情を知らない真一郎達は九井の言葉を黙って聞く


どんどん九井の声が震えてくる






九井「イヌピーを助けくれた後に
まだ家の中に赤音さんがいるってわかってあの人...ｯ
家の中に飛び込んで行って赤音さんを助けに行ったんだ
2階の部屋から飛び落りるからオレ達にクッションとかを
用意しろって言って止める間もなく行っちまって...っ
言葉通り、雪さんは赤音さんを助けて出てきた
けどその頃にはもうっ、意識失ってて...ｯ！！」




真一郎達は言葉を失った

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