東卍の白豹Part2

82話:割られたガラス ページ37

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雪は撫でられた頭に手を当てながら
真一郎が出ていった裏口を見ていた


なんでかわからないが、この時どうしようもなく
落ち着かなくてソワソワした

なんだか、嫌な予感がしたのだ
胸騒ぎがする




自分のこういう勘は結構当たる
その考えを振り払う様に首を横に振ると、裏口の鍵を閉めた


そうして2階に行ってソファに横になった
最初は寝付けなかったが、ずっと目を閉じていたら
どんどん眠くなってきてウトウトし始めた

その時だった





ガシャンッ＿＿＿＿






何かが割れた様な音が聞こえて目を開ける
あまり大きくなかったが、静かにしていたから聞こえた


『...なに？まさか＿＿＿』




物音を立てずに階段に向かうと
1階の店の方から複数の足音と話し声が聞こえてくる

いまいち話の内容は聞こえなかったし
はっきり聞き取れる程の大きさでもなかったから
相手がどんなのかも想像がつかなかった



けれどこれだけはわかった
“泥棒”だと

店には高価なバイクも置いてある
それ目当てか＿＿＿




雪は一度2階に戻った

幾ら喧嘩をして場数を踏んできていても
こんな状況は初めてで、ドクドクと心臓が煩いぐらいに鳴って
体が震えた



怖かったけれど、真一郎が嬉しそうにバイクの話をする
顔を思い出す

泥棒に入られたと知ったらどんな顔をするだろう
大事にしていたバブが
大事に整備をしていたマイキーへの誕生日プレゼントが
盗まれたら＿＿＿＿





悲しい顔はさせたくない

そうだ、やることは決まってるじゃないか＿＿＿＿




『...どうしよう、真一郎君ｯ
＿＿＿守らないと、真一郎君が居ない今、私が...』





やらないと＿＿＿


雪は手入れをする為に居住スペースに置いていた
工具の中からスパナを手に取る

相手が武器を持っていた時の保険だ



覚悟を決めて階段を降りて行った













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真一郎side



万次郎にあげるバブを完成させた後

“あのじいさん”の事が気がかりで外に出て探した


けれど何処を探しても居なかった



そうだ、自分が＿＿＿から






雪はもう寝てるか？なんて考えながら店に帰った


店に着いて裏口を見ると異変に気付く




ガムテープが貼られて、ガラスが割られていた



真一郎(泥棒、か？やばい、中には雪が...っ！！
無事でいてくれ！！)



ドアノブを回すとあっさり開く






中に入ると、階段で怯えた顔をしてスパナを手に握る
雪が居た

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