121 side 日向 ページ26
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優しくて面倒見のいいAさんはバレーしか脳がない影山の自主練に嫌な顔一つせず毎日付き合ったり、二人は家が近いからって一緒に帰ったり。
丁度その頃「影山くんっていつも無愛想だけど七瀬先輩といるとよく笑うし楽しそうだよね」「やっぱり付き合ってるのかなぁ」「でも美男美女だし超お似合い〜!」なんてクラスメイトの会話聞いちゃって。
Aさんは言わずもがな、影山も馬鹿だけどバレーは上手いし背も高いし顔だって良いし、俺から見ても二人はお似合いだった。悔しいけどお似合いだと思わざるを得なかった。
時々嫉妬で気が狂いそうだったけど影山は俺なんかよりもずっと前から彼女と知り合いで、仲も良くて、もうそれだけで俺の心を折るには十分で。
俺には手の届かない人なんだ、ってそう言い聞かせて諦めようとした。
でもAさんが卒業した後も、ブラジルでビーチの修行をしてる時も、いつだって嬉しいとか楽しいとか、そんな感情を一番に伝えたいって思うのはAさんで。
つらいとかしんどいとか、そう思った時に一番に浮かぶのがAさんただ一人で。
俺は二年で日本に帰るけどAさんが日本に帰ってくる保証なんてなかったし、もしかしたらもう二度と会えないかも、と思ったりもした。
俺が強くなればいつか彼女に見つけてもらえるかもしれない、そんな僅かな望みに賭けてただひたすらバレーに打ち込んだ。
そして、修行が終わって今のチームにトライアウトで取ってもらえて順調だったそんな俺に吹いた追い風。
いつもみたいに練習の為にアリーナに向かってる途中複数の人影が見えた。二人は監督とコーチ、そしてもう一人は華奢な女の人。
後ろ姿だけじゃ最初は気付かなかった。
でもふと見えた横顔は、
一度だって忘れたことのない大好きな彼女の横顔で。
幻かと思った。夢かも、とも。
でも何度見てもそこにいるのは紛れもないAさんで。
もう二度と会えないと思っていた俺の胸は、初めて彼女に会った時と同じくらい高鳴っていた。
もう絶対に、この人のことを諦めたくない。
そう思った俺はアリーナへ駆け出した。
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A・O・I(プロフ) - ぽんこつさん» コメントありがとうございます!煮詰まってあまり更新できていませんが頑張ります(T_T) (2022年2月3日 20時) (レス) id: 411bf3a426 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんこつ(プロフ) - 凄くいい作品んです!続き頑張ってください! (2022年2月3日 17時) (レス) id: b62fb1fea3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:A・O・I | 作成日時:2021年5月17日 11時