letter 2

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fk side






「…お疲れ様でーす」




いつだって人は不平等だ。

家庭や人間関係に恵まれる奴もいれば、毒親と呼ばれる親のもとに生まれてしまう奴もいる。


俺みたいに、20歳を過ぎても親に支配され続ける奴だっている。




けど残念ながら、それが世の中ってやつで。

世の中の不条理のもとで、今の人類は生きている。










「っだあ！！もーやってらんねーよ！！」
ab「まあまあ、お疲れ様」
「あーもう、ほんと転職してー、、」


かつん、と鳴ったガラスがぶつかる音。
目の前の阿部ちゃんもいつの間にかスーツを身に纏うようになっていて。



“社長の息子” “後継者”

この二つのレッテルによってとてつもなく息苦しい社会人生活を送っている俺より遥かに輝いて見えた。






ab「今日照は？」
「仕事だって。フラれたわ」
ab「そ。俺でごめんって感じ」
「んや、あべちゃんだから話せんのよ！俺は！！」


中学の頃から変わらないその居心地の良さは、俺が溜め込んでいたものを全て吐き出させる力があって。
社長の息子であることや、後継者であることなど、諸々知っているのは阿部だけ。



照も、だてさんも翔太も佐久間も。
俺への態度がガラリと変わってしまった人たちばかり見てきたせいか、4人にはきちんと伝えられていないままだ。





「ほんっと、仕事楽しくねぇ！！」
ab「仕事って楽しむものじゃないでしょ」
「…俺も阿部ちゃんみたいに頭良ければ…」
ab「え？なんで？教師になりたかったんだっけ？」
「いや、社会勉強だとかなんとか言って別の会社に入れたかも知んねーじゃん。もしくは大学行くとかさ」
ab「あぁ、なるほど」
「そもそも経営者とか向いてねーのよ俺は。コツコツ地道に信頼得ながらちゃんと一つ一つの顧客とか案件に携わりたいわけ。俺が目指してんのは偉そうにふんぞり返って座るあいつの席じゃねぇ」
ab「……相変わらず親父さんと仲悪いんだね」
「ったりまえだろ？一生仲良くしねえよ」





ベラベラと饒舌に喋る俺に相槌を打ちながら、否定も肯定もせずただ淡々と受け入れてくれる阿部。


ほんと、こいついい奴なんだよなぁ、なんて思いながらどんどん進む酒を流し込んだ。





ab「ああ！もう、飲み過ぎだって！」



たまに酒じゃなくて水を持たせるあたり、阿部らしい。

忠告を聞いてられるほど冷静ではない俺はあっという間に酔いが回って。




ガン、と音を立てながら机に突っ伏した。

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