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kj side
nb「うわっ！うま！」
sk「出た、渡辺の伝統芸」
fk「これマジでうまい！」
dt「それはよかった。康二のも美味しいよ」
ru「これ本当に美味しい！康二くん料理できるようになったんだね」
kj「おん、めめが一緒におる時だけやけど」
mm「あぶないから1人では禁止にしてんの」
ab「懸命な判断だと思うよ」
iw「こーじ、洋服に付くぞ」
手術が終わって、ゆっくりと視力が戻っていきますって言われてからしばらくはめめとも会わなかった。
実は術後にいてくれたみたいやけど、麻酔がなかなか切れんくて。仕事の兼ね合いや俺のリハビリの時間とか、いろいろあって会えていなかった。
そこに現れたのがラウールだった。
kj “…誰、ですか？”
ru “…康二くん”
kj “え、もしかしてラウール！？”
ru “そうだよ。バカバカ！心配した！！”
連絡を絶っていたはずなのに、めめしか居場所を知らないはずなのに。
突然現れたラウールは泣きながら抱きついてきて、俺の存在を確かめるように俺に触れていた。
そこからは本当にトントン拍子に事が進んで、1週間も経たないうちに全員が俺の居場所をラウールから聞き出して会いにきた。
たしかその場にめめもいて、やっと会えたって泣くからびっくりしたんやっけ。
ぼやけた視界。やっと光を取り戻した俺の目には、やっぱりみんなの顔を認識できるほどの力はなくて。
会いにきてくれるたびに間違えるから、申し訳なくて。
そんな俺を見兼ねたラウールが提案したんよ。
“色付きのリストバンドで見分ければいいよ”って。
会いに来るたびみんな袖を捲って、バンドが目立つようにしてくれて。
白の代わりにオレンジをつけたラウール。
黒をつけてるめめは不服そうだったけど、めめにはやっぱり黒が似合う。
退院してすぐめめの家に転がり込んだ。
本当は自分の家に戻る予定だったけど、めめがどうしても一緒に住みたい、心配だってうるさいからお邪魔することになって。
…ホンマはもう、終わってる関係やから良くないんやろうけど。
めめとの関係は変わらずで。
一方的に終わらせた関係を、俺から修復したいなんて言い出せず、お節介を焼いてくれる彼の優しさに甘えていた。
でもそろそろ、1人で生きていくためにホンマに自分家に帰らなな、なんて思って、めめには内緒で何度か家に戻り、ぼやけた視界で怪我をしないために訓練している最中なのだ。
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作者名：鯱 | 作成日時：2023年8月9日 15時
